The Guardian, Fri 22 Nov 2019

After a decade of decay, Labour’s manifesto offers us hope for the future

Gary Younge

 

2007年に、優れた左派の知識人Stuart Hallが質問された。彼が生涯を通じて主張してきた「より平等な世界」が、ますます遠くなっていることをどう思うか?

 

彼は答えた。政党であるから、世界経済に合わせて自分たちが変わるべきではないか? もちろんそうだ。われわれは変わるべきだ。しかし、2倍とか、2倍半も、不平等になるべきではない。もし誰もが同じ基準で討論するなら、それはスウィフト的な問題を論じることになる。・・・「われわれは、先に子供を食べるべきか? 後で子供を食べるべきか?」 (もちろん、子供を食べるべきではない!)

 

コービンJeremy Corbynが労働党の党首選挙に立候補したとき、彼の目的は討論の幅を広げることだ、と述べた。西側の社会民主主義政党が衰退する中で、彼は党首になった。彼らは、賃金が停滞し、規制緩和やネオリベラリズムが広まることに、そして、10年以上も戦争し、金融危機と財政緊縮が行われた5年間に、ますます気候変動の危機が激しくなる中で、十分な対抗策を示さなかった。

 

問題は、中道左派が社会的なビジョンを示せないことだった。富裕層の起こした危機に対して、貧しい者がそのコストを支払うのか? 権力を握る者たちの愚策のために、弱者が犠牲になるのか? そして、地球環境が何にでもコストを引き受けるべきなのか? コービンがその答えを持っているからではなく、少なくとも、彼はその問いを発する覚悟があったから、党首になった。イギリスがBrexitを選び、アメリカがトランプを選ぶ前の年に、コービンが党首になったのは、労働党が重要でなくなったからではなく、復活するためだった。

 

私の政治生活を通じて、労働党は、もし敗北したら事態はもっと悪化する、という脅しで、いやでも従うしかない選択肢だった。コービンが示す、労働党は事態をもっと改善できる、という訴えは私を安堵させる。労働党は、石油企業に課税して、グリーン経済に転換する。ハイテク大企業に課税して、ブロードバンドのインフラに投資する。鉄道を国有化し、低所得者の住宅をもっと建設し、無料で成人向けの再訓練を実施する。それは私が望むものであり、それに対してなら負担を分かち合いたいものだ。さらにそれらは、企業利潤ではなく、人びとを中心に据える政治である。

 

その本質において、労働党のマニフェストは、単に望ましいものだけでなく、可能なものを拡大する。それは、他の政党や評論家たちが、それらを望まない、その準備がない理由を説明するように求める。このマニフェストが経済を崩壊させるというのであれば、経済はだれのためにあるのか、と問うだろう。

 

世界で5番目に豊かな国(イギリス)が、子供たちに食事を与えず、貧困層は住宅に住めない、病気の治療も受けられないのであれば、経済はすでに崩壊しているのだ。