FT November 29, 2018

Martin Wolf and FT writers: what home means to me

Martin Wolf: definitions of home

 

ホームとは単に安全な場所ではない。それはその人を定義するものだ。

 

「住宅」や「フラット(アパート)」と違い、ホームは具体的なものではない。それは抽象的で、その人だけの意味を持っている。

 

ある人が「ホーム」と考える場所は、その人の歴史、アイデンティティ、人間関係を表現している。ホームがあることは、安全であるだけでなく、その人自身を決めることだ。それゆえ、ホームレスは絶望的な状態を意味する。

 

2つの定義の持つ広い意味で、私のホームはロンドンだ。Oxfordで学生であった6年間、ワシントンDCで、妻や2人の子供とも暮らした10年間を含めて、私のホームはロンドンだった。

 

Oxfordもワシントンも、私はOxfordを愛したが、私のホームではなかった。特にワシントンでは、私は根付かなかった。アメリカ人の住民の多くにとっても、ワシントンはホームではなかった。ワシントンの産業は、アメリカという外国の政府だけであったから。私はアメリカに住むことで、まさに人が外国人であることの意味を理解した。

 

ロンドンこそが、イングランドやUKよりも、私のホームである。私の父と母はヒトラーのヨーロッパを逃れた、それぞれオーストリアとオランダからの難民だった。彼らは生き延びるためにイングランドに来て、2人ともここに親類はいなかった。

 

私の父は、死ぬまでホームを持てなかった。しかし母は、ロンドンを彼女のホームと感じていた。私もそうだ。世界銀行で働いた10年の後、ロンドンに帰って、私はホーム(故郷)に帰ったことを知った。

 

厳密な意味で、2つの定義を満たすホームは、ロンドンのHampstead Garden Suburbにある、愛する両親の下で、私が弟と育ったホームだ。その住宅はWilliam Morris風のデタッチト・ハウスだった。私は両親がそれを1950年代初めに4000ポンドで購入したことを知っている。その価格は当時の市場の上限であったから、リスクが高い、と両親は助言された。今、その住宅は200万ポンド近くする。

 

私は住宅価格がこれほど高騰していることにショックを受ける。私の考えでは、住宅はホームであるべきで、投資ではない。住宅価格が高騰することは、たとえ個人にとって良いことでも、この国にとって悪いことだ。