PS Mar 23, 2018

Europe Should Not Retaliate Against US Protectionism

HANS-WERNER SINN

 

トランプの「保護主義によってアメリカを再び偉大にする」行動に、ヨーロッパはどのように反撃するべきか?

 

トランプは、容易に勝利できる、と言うが、貿易戦争では誰も勝利できない。トランプはすでに、BMWやメルセデスのような自動車への関税も約束している。他方、欧州委員会も、報復関税を考慮していることを公表した。それは、逆に、貿易戦争を招き寄せるかもしれない。

 

ガラスの家に住む者は、石を投げるべきでない。EUの域内貿易は脆弱である。アメリカからの輸入自動車に10%の関税を課している。アメリカが輸入するヨーロッパの自動車には2.5%の関税だ。また、EUは輸入農産物に極端に高い関税を課している。それはEECの初めから行われてきた。独仏間の望ましくない政治的妥協による。

 

ヨーロッパの農産物は世界価格より約20%も高い。保護主義は発展途上国にも損失を強いている。その意味で、トランプがヨーロッパの保護主義を批判するのは間違っていない。

 

EUが、真に、自由貿易の砦となるには、アメリカが保護主義の手段を使っても、消費者・市民の利益を損なってはならない。フランスの農業保護ロビーからの圧力や、イギリスの財政移転を失う欧州委員会の心配に屈さないことだ。

 

欧州委員会は、アメリカとの保護主義による対抗戦略を避け、むしろ関税率を下げて、TTIP(the Transatlantic Trade and Investment Partnership)の交渉を進めることだ。それにより、トランプの勝利宣言を聞くとしても、EUの軛から消費者を解放し、生活水準の改善をもたらす。