PS Jan 23, 2018

Making Migration Work

MICHAEL SPENCE

 

グローバリゼーションと相互依存の時代は4つの支柱によって成り立つ。貿易、投資、移民、情報である。前者の2つは実効性のある構造と国内コンセンサスに基づく国際システムによって確立されているが、後者の2つにはそれが欠けている。

 

国連は2016年から、移民に関するグローバル・コンパクト、を2018年までに合意するよう提唱した。しかし、だれもが支持するわけではない。ドナルド・トランプ大統領はこのアプローチに参加しない。アメリカ人だけが、「われわれの国境をベストに管理し、この国に入れるのはだれかを決める。」

 

他方、ヨーロッパ市民は、EU加盟の条件として、単一市場内部の人の移動の自由を認めている。しかし、EUの労働力移動は、EU経済の統合化を支援し、労働市場を拡大し、経済的な調整メカニズムを強化するために意図された。その意味では、どれくらい、どのような移民労働者を必要とするか、集団的に決定する必要がある。

 

現在、各国の難民受入れの割り当てはあるが、イタリアのように大幅にそれを超えている国や、ハンガリーのように1人も受け入れない国がある。割り当て数は、その国の受入れ能力や、難民の最終目的地によって決めるべきだが、そうなっていない。経済的視点からは、需要と供給が均衡するメカニズムを欠いた、市民権への過剰な需要がある。

 

自然災害から内戦状態まで、この均衡を超える突然の流れが生じることは、システムに過剰なストレス、そして道義的な課題を負わせる。移住することへの需要が、その受け入れ数を大幅に超えれば、非合法な、しばしば危険な移住が増える。

 

受入国は、一貫した、適応する政策を持つべきだし、多次元の要因を考慮した計画、すなわち、経済(財政)的な、そして社会的な、コストとベネフィットを評価し、移民に関する国内の分配問題を考慮した見通しを持つべきだ。そうした視点を欠くなら、反移民の逆風が国際協力を妨害し続けるだろう。

 

各国の移民受け入れ数を決める一般的な公式はなく、独自の政策を見出すべきだ。明らかに、より豊かな、成長する諸国の側(移民・難民の機会を供給する側)に、国家主権を損なうことなく、調整する大きな余地はある。それに応じて、国際協調は可能になり、難民の苦痛を減らし、経済移民を管理し、流出国の経済発展や成長を支援して、不均衡を解消する道が見いだせる。