世界最小の自動拳銃「リリパット」は2種類ありました | ジャック天野のガンダイジェスト

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スモールアームズ(小火器)に関するエッセイです。同じアメブロで書いていたブログを継続して、不定期で更新して行きます。

世界最小の拳銃はコリブリ(参照)ですが、これは単発式のピストルでした。自動拳銃で最小なのはLiliput(リリパット)ピストルで、口径は4.25mmの専用弾を使い、6発を弾倉に装填することが可能でした。作動方式はシンプルブローバックで、イギリスでは免許なしに所持できる唯一の拳銃でした。設計者はオーストリアの時計職人(コリブリの発明者も時計職人です)フランツ・ファンニで、製造はドイツのズール地方にあるアウグスト・メンツ造兵廠で、1927年から製造されました。全長は10センチ少しと、手の中にすっぽり入ってしまう大きさでした。リリパットの名前はジョナサン・スウィフトの小説「ガリバー旅行記」でガリバーの船が難破して捕らわれてしまった小人国の国名から由来しています。隠し持てるために、ナチスドイツは連合軍の後方攪乱のための特殊部隊ヴェアヴォルフの隊員にリリパットを支給したと言われています。また、小説家アリステア・マクリーンは著作の中で、このリリパット・ピストルに言及していますが、誤って、.21口径と記述しています。なお、リリパット・ピストルには.25口径のモデル1もあります。
 そして、リリパットの名前を持つ自動拳銃はもうひとつあるのです。ハンガリーのルドルフ・フロンメルが設計したフロンメル(フロマー)・リリパットで、.25口径の自動拳銃です。製造はブダペストにあったFEGで、1921年から製造され、35000台も作られたと記録が残っているようです。また、.25口径のほかに.22口径のフロンメル・リリパットも作られました。シンプルブローバック作動方式で、弾倉には6発の.25口径(6.35X16mm)弾を装填することができました。