ルガーP08をブローバックにし小型化したエルマKGP-68 | ジャック天野のガンダイジェスト

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スモールアームズ(小火器)に関するエッセイです。同じアメブロで書いていたブログを継続して、不定期で更新して行きます。

ルガーP08(パラベラム・ピストーレ)はドイツ帝国の制式拳銃として有名で、オリジナルはゲオルク・ルーガーがボーチャードピストルを改良して設計し、DWM社が製造しました。DWMは9mmパラベラム弾(9X19mm)をパラベラム・ピストーレとともに製造しましたが、このパラベラム(parabellum)はラテン語のSi bis pacem, para bellum(平和を欲するなら、戦争に備えよ)という格言の後半部分に由来します。このパラベラム・ピストルはP08として1908年にドイツ帝国陸軍に採用されましたが、その後マウザー社などでも製造されています。さらに、戦後になって再建されたマウザー社もP08のコピーを製造しています。このP08はトグルアクション、いわゆる尺取虫と呼ばれるロック機構が特徴のショートリコイル方式でしたが、そのトグルアクションを継承しながら、ブローバックとして小型化した自動拳銃が1968年にエルマ・ヴェルケから発売されました。エルマ・ヴェルケと言えば、MP40サブマシンガンなどで有名なメーカーですが、戦後は中型、小型の拳銃をおもに生産していました。このエルマKPG-68は外見はP08に似ていますが、口径は.32ACP(7.65X17mm)または.380ACP(9X17mm)を使用していて、ブローバックのため構造はP08よりも簡略化されています。弾倉には.32ACPが6発、.380ACPが5発と小型化にともなって装弾数も減っています。なお、エルマ・ヴェルケは1997年に倒産し、現在では存在していません。