小型ながら.357マグナム弾を使用できるS&W M360と派生型のM360J SAKURA | ジャック天野のガンダイジェスト

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スモールアームズ(小火器)に関するエッセイです。同じアメブロで書いていたブログを継続して、不定期で更新して行きます。

S&W M36「チーフス・スペシャル」は1940年に発売されたスミス&ウェッスン社のロングセラー・リボルバーでした。1950年代には私服刑事が愛用し、日本にも警察用拳銃として輸入されました。そのM36は小型のJフレームを使用した.38スペシャル弾5発装填のダブルアクションリボルバーでしたが、それをより強力な.357マグナム弾5発装填用に改良したのが、S&W M360で、2002年から発売されています。このM360はJフレームをスカンジウム添加のアルミ合金、シリンダー(回転弾倉)をチタン合金などで構成した「Jマグナム」フレームを使用し、小型軽量モデルでありながら、.357マグナム弾が使えるDAリボルバーとして異色の存在です(写真)。もちろん、.38スペシャル弾や.38スペシャル+P弾の使用も可能です。

 

このM360をベースにしたのが、日本の警察用拳銃であるM360J SAKURA(サクラ)です。フレームやシリンダーはステンレス合金製で、グリップをより長くして指かけを追加し、さらに吊りひもを付けるためのランヤードリングが追加されています。使用弾薬は.38スペシャルで、.357マグナム弾の使用は考えられていません。S&W社が製造し、日本のミネベアミツミがグリップやランヤードリングの追加を行っています。M360J SAKURAはニューナンブM60やS&W M37に替わって配備されていて、いまでは制服警官の装備率がいちばん高いと思われます。テレビ朝日のドラマ「相棒」2018年元日スペシャルでは、このM360J SAKURAが銃撃事件に使われるという設定でした。