オーストリア・ハンガリー帝国の制式拳銃、フロンメル(フロマー)「ストップ」 | ジャック天野のガンダイジェスト

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スモールアームズ(小火器)に関するエッセイです。同じアメブロで書いていたブログを継続して、不定期で更新して行きます。

オーストリア・ハンガリー帝国ではオーストリアを拠点とするステアーがおもに軍用自動拳銃を作っていましたが、ハンガリーでも自動拳銃が作られ、制式化されるという二重構造になっていました。ハンガリーではルドルフ・フロンメル(フロマー)を主任設計者として、FEG(金属・火器・機械製造所)で、一連の自動拳銃が作られました。まず、M1910が設計されましたが、この.32ACPは不十分な点が多く、試作に終わりました。


フロンメルがつぎに設計したのが、M1912(ピストリー12M)でした。これも.32ACP(7.65m×17)でしたが、完成度が高くなり、制式拳銃とされました。作動方式は拳銃としては珍しいロングリコイル方式であり、トリガーはシングルアクション。後方のボルトを引いて、初弾を薬室に送り込み、トリガーを引いて撃発する方式でした。グリップ内の弾倉の装弾数は7発で、排莢口(エジェクション・ポート)は右側のグリップ真上にある構造でした。


このM1912はM1919(19M)、そしてM1939(39M)と改良され、39Mでは.380ACP(9mm×17)も採用されました。そして、この一連のフロンメルの自動拳銃を「ストップ」と総称しています。なお、バリエーションとして、フロンメルM17があり、これは2挺を上下逆にして、三脚に取り付け、上から25発の専用弾倉を付けて、フルオートマチック射撃ができるものでした。また、フロンメルには.25ACP口径の「ベビー」というポケットピストルもあります。


映画にはほとんど登場しませんが、ハンガリーのテレビドラマには何度か出ているようです。



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