FNの最初で最後のリボルバー、バラクーダ | ジャック天野のガンダイジェスト

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スモールアームズ(小火器)に関するエッセイです。同じアメブロで書いていたブログを継続して、不定期で更新して行きます。

FNハースタルは自動火器で有名なメーカーであり、とりわけ自動拳銃では、ジョン・M・ブローニングの協力により、早くからこの分野をリードしてきました。ところが1970年代にどういうわけか、リボルバーに手を出したのです。リボルバーの分野ではS&Wがリーダーの時代だったわけですが、FNはそれにチャレンジすることになったのです。このリボルバーは「バラクーダ」と名付けられ、1974年に発売されました。デザインはS&Wに似ていますが、部分的にコルトのリボルバーに似ている部分もあります。


このバラクーダの大きな特長は、シリンダーを交換することによって、9mm×19(9mmパラベラム)、.38スペシャル、.357マグナムが使用できることでした。いかにもFNらしい独創的なもので、とくに9mmパラベラムが撃てるというのは、いかにもヨーロッパの拳銃(その頃は9mmパラベラムはまだNATO規格になっていませんでした)ですね。トリガーはダブルアクションですが、ハンマーを起こしてシングルアクションで撃つこともできました。装弾数は6発と標準的なリボルバーで、3.57マグナムを撃つためにフレームは強度の高いものが使用されていました。もちろん、シリンダーはスイングアウトできて、迅速な装填・排莢ができました。


しかし、このリボルバーはFNの期待に反して、警察用としても、民間用としても売れずに、1989年には製造中止となってしまうのです。このバラクーダはFNハースタルの最初にして最後のリボルバーであり、また失敗作となってしまったのでした。


そして、映画やテレビへの登場はなく、わずかにゲームに登場するのみです。リボルバー人気が高いアメリカでも、FNバラクーダの名称を知っているのは、マニアだけでしょう。



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