ドイツ第三帝国の最後を象徴する国民突撃銃、VG-45 | ジャック天野のガンダイジェスト

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スモールアームズ(小火器)に関するエッセイです。同じアメブロで書いていたブログを継続して、不定期で更新して行きます。

ナチス支配下のドイツ第三帝国は敗色が濃くなってきた1944年9月にヒトラー総統の命令で、一般国民を最前線で最後の抵抗をさせようと、国民突撃隊(フォクルスシュトルム)を結成しました。同時に、国民突撃隊用の小火器を生産するための、簡易武装計画が策定されて、各銃器メーカーにVG(フォルクスシュトルムゲヴェア-)という統一名称の元で、簡易小銃、突撃銃などが作られました。そのうち、もっとも完成度の高かったのが、グストロフ社の設計したVG-45でした。


この「突撃銃」はMKb42(H)からStG44に至る7.92mm×33(7.92mmクルツ)弾を使うSturmgewehr、すなわち突撃銃と同じ弾薬を使う点では、まさに突撃銃でした。そして、弾倉もStG44などと同じ10発または30発装弾の着脱式箱型弾倉を使っていました。しかし、作動方式は拳銃に使われるディレード・ブローバック方式であり、セミオート専用でした。このため、突撃銃(アサルトライフル)とサブマシンガンの中間のような存在と言えます。1945年に制式化され、2月から降伏する5月までの間に約1万挺が製造されたと言われています。また、後期型はセミオートのほかに、フルオートも可能になっていたようです。


第二次世界大戦末期のことであり、国民突撃隊自体、どれほどの活躍をしたか記録が残っていません。しかし、国民突撃隊と国民突撃銃VG-45はナチス第三帝国の最後を象徴する小火器と言えるでしょう。


そして、戦後の西ドイツで、シュポルト・システメ・ディトリッヒという会社がBD-1-5の名称で、このVG-45を製造しています。ただし、セミオート専用です。VG-45よりは仕上げがよく、フレームなどはステンレスです。


このアサルトライフルは映画などには登場しません。忘れられた存在になっているのでしょう。



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