コルト社のリボルバーの中ではマイナーな存在のトルーパーとローマン | ジャック天野のガンダイジェスト

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スモールアームズ(小火器)に関するエッセイです。同じアメブロで書いていたブログを継続して、不定期で更新して行きます。

いうまでもなくコルト社はドラグーンモデルやSAAの成功で有名になったリボルバーメーカーですが、後発のS&Wに追い上げられて、20世紀初頭にはS&Wのリボルバーのほうが有名になってしまいました。コルト社はM1900から始まるジョン・M・ブローニング設計の自動拳銃のほうに力を注ぎ、M1911を完成し、以降、自動拳銃のほうにウェートを移して行きます。しかし、S&WがM19「コンバット・マグナム」以来、マグナム・リボルバーで成功を収めていくと、負けてはならじと.357マグナムリボルバーを1953年に初めて市場に送りだしました。これがトルーパーでしたが、あまり知名度はなく、その後に出したパイソンが独特のベンチレーテッドリブによって人気を得ました。しかし、トルーパーも1960年代にMkIIIにリニューアルされ、S&Wに似たエジェクターロッドシュラウドを装備して、ようやく少し人気がでてきました。


トルーパーMkIIIと同じ頃に開発されたのがローマンMkIIIで、やはり.357マグナム弾を撃てるようになっていました。名前のように警察用を目的に開発されたのですが、S&Wの牙城を崩すことはできずに、マイナーな存在にととどまってしまいました。トルーパーやローマンが不人気なため、コルト社はアナコンダやダイアモンドバックやキングコブラという「毒蛇」シリーズを出しますが、これもそれほど人気は出ませんでした。コルト社は1960年代後半から、アメリカ軍のM16アサルトライフルを作るメーカーとしてビジネスを発展させたため、同社のリボルバーはさらに落ち込んでいき、わずかにパイソンが残り、あとはM1911A1人気でかろうじて、拳銃市場を支えていました。


このように本国アメリカではまったく無名に近いコルト・トルーパーやコルト・ローマンのMkIIIシリーズなのですが、日本の刑事ドラマではどういうわけか人気があるようで、いろいろなドラマに登場します。また、トルーパーはオウム真理教事件で、国松警察庁長官狙撃事件に使われたことで悪名が高くなりました。アメリカ映画では「ビバリーヒルズ・コップ2」で女性殺し屋のブリジット・ニールセンが長銃身のコルト・トルーパーMkIIIを使うシーンがあります。コルト・トルーパーMkIIIは「ブラック・サンデー」でフットボールスタジアムでの無差別テロを防ごうとするロバート・ショー扮するイスラエル諜報部少佐が使います。



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