立会川 (大井競馬参戦記) | ☆まけうまブログ★

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徒然なるままに日暮らしスマホに向かひて心に浮かぶよしなしごとを競べ馬の有様とともに書きつらねる自己満ブログ。
前半はよしなしごと、後半はレース回顧。
競馬道は一にも二にも検証の積み重ね。怠ればハズレ馬券が山と成す。

競馬やる人はたいてい使う新聞は決まってるはず。

自分の場合、専門紙なら中央は競馬ブック、南関東はケイシュウNEWS、潰れた我が地元上山なら一番マイナーなBestホースをひたすら使っていた。
使い慣れてない新聞で予想しても、頭に全然入って来ないもので。

勝負の日は専門紙だけど…
今日は競馬場の風に誘われて遊び来ちゃいました♪な日は高い専門紙は買わずに東スポやスポーツ紙。
東スポはかなり使える方だが…
スポーツ紙は専門紙に比べたら肝心な部分がスカスカすぎて、全く役に立たない。
午前中の一段しかない馬柱なんか見るくらいだったら、主催者のホームページ見た方がよっぽどマシだ。

これが南関東だと…
スポーツ紙に載ってる馬柱なんて後半4レースくらい。
しかも条件欄が[3歳]とか[C2]しか載ってなかったりする。
3歳は何万下で、C2の何組ですかぁ?(。。;)

つまり大井競馬場駅で東スポ買った時点で、そういう予想で競馬するつもりがない証拠である。


パドックではちょうど8Rの周回中。
新聞を拡げもせず、柵にもたれてじっと馬を見る。
張田のコスモアンドリューと吉井のエクセルボスが図抜けて良く見える。
吉井の方は笑うしかないほどの人気薄で、しかも和田のワンスタディオンが単勝1.5倍。
別に良くも見えないけど…そんな強いか?

新聞に関係なく、自分の馬を見る目が錆びているかどうかだ。
和田はぶった切って、この2頭の馬連一点だけ買って遊ぶことにする。

マークカード塗りながら予想屋のブースを横切ると…
[9番(吉井)は、パドックはいいけどね、成績がついてこない現状だね]

新聞もホームページも見てないけど、おそらくまんまそうなんだろうな…。

景気づけに好物の赤もつ串を食いながらスタンド前に来る。
[もつ]と言っても、サイコロ型の赤身。正体不明の肉だが、柔らかくてなんとも言えずうまい。
レースは、見立て通り張田の圧勝で、吉井の方もまさに予想屋の親父の言う通り、後方でズブズブであった。
2着に中野の8番エーシンラッシング。
和田が飛んだ以外は順当と言える。
まぁ、眼の方はそう錆びてなさそうだ。


続いて9R。
それにしてもパドックは空いている。
どの角度からでも、好きなだけ見放題。
直射日光全開なJRA夏競馬のように、立ってるだけで気が遠くなるようなこともないナイターは快適そのもの。
マイネルガンバが桁違いに良く見える。
しかしこいつまるで人気ないな…。
しかも鞍上中野省吾で、8Rと同じ8番。
こんな二度続けて、同じことが…
あるかもな、大井だし。

そこで一つ捻って、ひょっとしたら頭まで来ちゃうかも♪と思って、単勝で遊ぶことにした。

腹が減ったので、レース前に食料を調達する。
パドックと正門前の間に屋台が並んだ一角がある。
今年イベント中の香里奈横丁の並びだ。
そこで売ってる、煮込みぶっかけラーメン。
超具だくさんのもつ煮込みを、茹でた麺の上に大量にぶっかけて、たまごにネギに薬味を入れてくれる。
このコラボが、本当に味覚的に合っているかどうかは別にして、このラーメンの最大の利点は、ひたすら麺を食った後で、残った大量の具がそのままビールのつまみに変身する所にある。
これで450円はかなりお得な気がするので、自分的に大井の愛用フードの一つ。

メインスタンドの薄汚いオレンジ椅子に座って、こいつを食っていると、馬産地の隣に住む馬券野郎から電話が来た。
[いやぁ、やっぱりストロングリターンでしたな!]
週中、メールをして来たのが奴だけだったので、唯一安田記念の予想を話していた相手であった。
[大井はどうですか?さっきのレースは張田ですか?相変わらず悪辣ですなぁ]
奴は周りに少数派の南関東仲間でもある。
[次はそろそろ的場文男が一発かましてくれる頃じゃないすか?]
奴との電話が終わり、再びラーメンを啜っていると、隣に年期の入ったオッサンが腰を降ろした。
通りすがりのちびっこ兄妹に爺ちゃんのように笑いかけている。
どんなにキラキラな競馬場にアレンジしていても、L-WINGとダイヤモンドターン以外は、相変わらずの古ぼけたスタンド。
おまけに節電で馬場内のイルミネーションは一つも点灯していない開催初日。
オッサンにもちゃんと昔ながらの居場所があるのが、大井の素敵な所だ。

馬産地の隣人が適当に言ってた言葉通り、大井のキーラン・ファロンこと的場文男大先生が直線鮮やかに抜け出した。
何と言ってもAROUND60、ケツの位置が昔よりも下に降りていて、ジェットスキーみたいな状態で追っているのに、馬は相変わらず伸びる。
おそらくアブミの踏み方とケツと膝でバランスを取って、ガッシリとハミを噛ませて追う、年相応のスタイルをさらに確立している。
そして恐ろしいことに未だに南関東リーディング3位に居座っている。
やる気なさすぎなアンカツさんには、少しこの人を見習ってほしいものだ。
で、2番手の馬は…
中野じゃねぇか!
バカ、追え、もっと追え、差せ!
しかし、最後は脚色が同じ…ここまでであった。

[8かよ]と隣でオッサンのぶつぶつ声と舌打ちが聞こえる。
呆然と苦笑いしながら、独り言に割って入った。
[俺、8の単勝だったんすよ…]
[はぁ?]
[あまりにも馬が良く見えたもんで]
[おまえバカか、単勝なんか買いやがって]
本当に呆れ果てた顔でこっちを見ていた。
[さすがに頭まではなかったかぁ…]
[そういう時はワイドでも買やぁいいんだよ、ワイドだって結構つくんだからよぉ]
オッサンに馬券で説教されたのも久しぶりだ。
[そっすねぇ(^∀^;)]
本当自分でよくわかってますって、ハハハ。


10Rは3歳特別。
プリンセス賞8着だった柏木のミラクルスターが、微妙な実績をタテに単勝1.5倍。
怪しすぎるだろ。
パドックで特別良く見せる馬はいないが、照明の下で丸めた背中で手綱をくねらせる金子正彦の表情は、まるで弥勒菩薩に後光が射しているかのような何とも言えぬいつも通りの雰囲気を醸し出している。
金子の次にいい雰囲気なのが、馬で言えば、坂井のクリックと、今野のラブミーファストであった。
1400はポケットからの発走ですぐに2コーナー。
大外の今野がどう立ち回るかが鍵になる。
枠順を考えると坂井の方が軸には適しているはず。
クリックからの馬単!

スッとハナに立つ的場文男に、内枠から左海誠二がガンガンに競りかける。
いくら何でも…な玉砕ハイペースになって、4コーナーでズブズブになった両馬に並びかけた今野が、羽田杯やプリンセス賞を再現するような勢いで一気に先頭に踊り出る。
ぐわぁ、ヤバい!
そこに猛然と追い詰める坂井英光とクリック。
頼む、交わせ、坂井~ッ!
壮絶な叩き合いの末、最後まで交わされることなく持たせてしまう今野忠成であった。


メイン11Rは1200m。
ここは1200専用を狙い撃ち…と思ったら、プリンセス賞で2番人気だったコウヨウタレイアが出ている。
キャリアと距離に泣かされた前回の大舞台は度外視できるとして…
今回は戸崎から真島に変わっている。
そして戸崎は3⇒2⇒1着で昇級戦のコールジャックに乗っていた。
この馬の単勝が…1.0倍。
そんなに強いのか?
確かに大井での持ち時計は、このメンバー中、図抜けてトップ。
しかし、ふと気付いた…今日の戸崎圭太、ほとんどいるのかいないのかわからないほど存在感が消えていることに。
思った通り、自分が到着する前のレース、戸崎は一つも勝っていない。
そしてパドックに現れた戸崎はほとんど勝ち負けと無縁な冴えない表情を浮かべていた。

どうせ遊びだ、こいつは蹴飛ばして、パドックで良く見えた森泰斗のオリヅル、町田のアールルイス、坂井のベルガマスク辺りを狙い撃つか。
そう思って返し馬を見ていると、物凄い風圧で真島とコウヨウタレイアが駆け抜けていった。
間違いない、こいつは短い所の馬だ…この返し馬なら絶対勝ち負けする。
戸崎、選び損ねたな。

その通りだった。
しかし、選び損ねたのは自分も同じだった。
コウヨウタレイアから馬単でさっきの3頭に流した自分は、最後の叩き合いで真島が坂井のベルガマスクに破れたのを見た瞬間、呆然と地べたにへたり込んだ。
また手元に紙屑が一枚増えた。


最終はC2の1800m。
マイルまでの馬とはハッキリ距離の壁が出てくる条件だ。
パドックで図抜けて良く見えたのはキーパー。
貧相な栗毛はとことん貧相に見える。
栗毛で良く見せるのは本当にいいということだ。
前回は戸崎で7着だったが、今回は相性のいい坂井に戻って巻き返しそうな雰囲気。
チラリと新聞を見るとたぶん一番人気だろう。
これでは得意の単勝勝負には出れないな…
そう思ってふと見た的場文男のシェアザドリーム、何じゃこりゃ?というほど全身に銭が浮きまくっていた。
前回は一番人気で11着に惨敗…
確かに何となく脚捌きが硬く、前回も行けてないレースぶりが気になる。
しかし、この全身銭斑の半端なさ、こいつとキーパーの馬連一点勝負だ!

今回も行けず後方でもがくシェアザドリームを尻目に、キーパーは圧勝だった。

ふぅ、とため息をついて、薄曇りの空にぼんやり浮かんだ月を見上げた。
確か今夜は月食だったはず。
払い戻しが出た。

単勝…1010円?

嘘だろう?(。。;)
一番人気じゃないのかよ!

旧東海道を立会川の駅まで歩く。
負けた帰り道は、このオケラ街道が心地よいのだ。

最近出来た怪しげな龍馬の銅像の下の公園で、コーヒーを啜り、タバコに火をつける。

どうやら馬を見る眼は、錆びていない。
ただ、頭の方が間違いなく錆びているようだ。