今日の読書記録は、ダニエル・フリードマンの『もう年はとれない』です。
87歳の『元凄腕刑事』が主人公のハードボイルドです。
〈あらすじ〉
思いかえせば、戦友の臨終になど立ちあわなければよかったのだ。どうせ葬式でたっぷり会えるのだから。捕虜収容所でユダヤ人のわたしに“親切とはいえなかった”ナチスの将校が生きているかもしれない――そう告白されたところで、あちこちガタがきている87歳の元殺人課刑事になにができるというのだ。だがその将校が金の延べ棒を山ほど持っていたことが知られて周囲が騒がしくなり、ついにわたしも、孫に助けられながら、宿敵と黄金を追うことに……。武器は357マグナムと痛烈な皮肉。最高に格好いいヒーローを生みだした、鮮烈なデビュー作!
ストーリーが把握しやすく、登場人物の数が少なく、プロットと謎が魅力的で読み進めてしまう一冊です。
この本での会話のほとんどが、口が悪くて皮肉がかっているのですが、漫才やコントのようで楽しめました。
翻訳に違和感が全くないのも、その理由のひとつだと思います。
Googleの検索ができず、認知症を発症しているのではないかと自分で自分を心配して、体もいうことを聞かない。どこでもタバコを吸うし、わがままで、自由奔放。だけど、357マグナムと強烈な皮肉と怖いもの知らずの精神を持つ87歳の元刑事。
実際にいたら迷惑そうなお年寄り…なのですが、キャラクターとしてなら、とても魅力的ではないでしょうか。
そんな彼を支えるのが、孫のテキーラ。主人公にたびたび反発し、意見が食い違ったり、口が悪かったりするのですが、それでも助け合っていく絶妙さが素敵です。
ありきたりなハードボイルドに飽きた時、おすすめの作品です。