今日の読書記録は、アガサ・クリスティーの『検察側の証人』です。
鮮やかに二転三転する、ドラマチックな戯曲です。
〈あらすじ〉
街で知り合い親しくなった金持ちのオールドミスと青年レナード。ある夜そのオールドミスが撲殺された。状況証拠は容疑者の青年に明らかに不利。金が目当てだとすれば動機も充分。しかも、彼を救えるはずの妻がなんと夫の犯行を裏付ける証言を……展開の見事さと驚愕の結末。裁判劇の代表作。
戯曲なので「舞台配置図」から始まって「場面説明」「人物名とセリフ」「動作」の形式で書かれています。
何ページか読むと慣れて、目の前で劇が進行しているような楽しみ方ができました。(登場人物や舞台配置図はメモに書いておくと忘れにくく、確認しやすくなります。)
今回は劇を楽しむように読んだのですが、とにかくハラハラドキドキしました。
舞台配置図をよく見ると、陪審員の席は半分以上が切れていて、観客席側に残りの席が延びています。劇の観客も陪審員として法廷にいる、ということでしょうか。
法廷以外の場での被告の言動も見ている観客(読者)を陪審員にさせることで、証人が嘘をついているのかどうかを見極めさせようとしているのかもしれません。
劇という演出方法を最大限に利用している素敵な作品です。