前回の総論的な内容でアップした記事にも、今後の参考になるご意見等を数多く頂いた。
これからは各論的に分析したいと思う。
まずはネトウヨ形成の背景から探っていく。
この後、これだけもネット上でネトウヨが蔓延るようになった背景、在特会などの団体が出現した背景、ネトウヨそのものの分析などを考え、論じていきたい。
ネトウヨ形成の背景としては、表面上から読み取れる要素が3つある。
1つは「無知」、1つは「無考察」、1つは「無節操」だ。
こう言い切ってしまうと終わりなのだが、ここからが意外と奥が深い。
結局は現代の日本社会が抱える問題にまで範囲を広げていかねばならない。
それでも書き進めてみる。
1.「無知」
これはなかなかの難題だ。
「無知」にもピンからキリまでレベルがあり、本当に知らないのか、知ってても分からない振りをしているのかが判断できない。
どちらにせよ、ネット上で撒き散らかしているコメント等は同じ内容なので、全て包括して扱う。
「無知」をもたらした要因は、いくつか考慮しなければならない。
考えられる要因を挙げつつ論じていく。
①学校での歴史教育
韓日、朝日の関係で論じられるレベルではない。
純粋な社会科、日本史の教育内容の問題である。
僕は一応、地域の進学校と呼ばれる学校に中高一貫で通っていた。
センター試験も日本史を選択したのだが、近代史(特に昭和以降)~現代史の授業の記憶が無い。
受験メインの教育故に、あまり出題されない部分が見事に割愛されている(←ノートを見返して確認した)。
一般常識として知っておくべき部分、ある意味では日本の負の歴史が見事に隠される現象を起こしているのではないだろうか。
②日常生活内の無関心
在日が関わることについて、日常の報道を見ても問題提起されていることが少ない。
僕の妹に至っては、「韓国人として差別を受けたことが無い」と明言するほどだ。
それだけ、在日の周囲にいっぱい漂う問題を明らかにされていない。
これも大きな問題だろう。
驚いたことに、妻の友人が僕のことについて、「ネットで見たけど、在日の人達って税金が軽いんでしょ」なんて言ってきたこともある。
事実を知っている妻は驚いて状況を説明し、誤解を解いたことがある。
世間の在日に対する認知度は、在日が多いとされる大阪ですらこんなものだ。
妻の友人は薬剤師で、日常話していても聡明な方だが、ネット上の情報のみでコロッと騙されている。
この事例を見ても、ある程度のネットユーザーであれば、無知というバックグラウンドがあれば、容易に騙すことができることを示唆していると思われる。
2.「無考察」
ネット上で知りえたことを簡単に信じるまでならともかく、流布してしまう。
少しでも弁えがあれば、事実確認や妻の友人のように内輪話で済む話を、何も考えずに横流しする。
その結果、ネズミ算式に誤った情報が拡散し、それが周知されてしまう。
自分自身で振り返ることなく、他人事だからお構いなしという背景も考えられる。
情報を目の当たりにした時、少し確認すれば誤った情報だと分かる筈だ。
自分に直接関わりが無いため、鵜呑みにして拡散するところが「無考察」と掲げた理由だ。
3.「無節操」
2ちゃんねるなどのページでネットスラングを使いながら拡散する。
掲示板の空気を読み、右に倣え的な態度であらゆるところで誤った情報を流布する。
しかも、その誤情報に必ず朝鮮人への差別用語をつける。
現状では取り締まれないため、面白半分で差別用語をくっつけた書き込みが常識化してしまう。
「無知」「無考察」が基礎にあるため、自分なりに目を引く差別用語や悪口を追加してさらに書き込みする。
この負の連鎖が、ネトウヨ形成に大きく関わる要因とも思われる。
これが「無節操」と分類した所以である。
ネトウヨ形成の背景には、日本の教育問題が関わる可能性も考察した。
また、日常では在日の諸問題が報道されたり、議論のテーブルに上がることが少ない。
あまり知らない世界だからこそ、下らない話を創作して、つけこんでくる要素があるのだろう。
教育の問題は致し方ないとしても、鵜呑み→話に尾ひれをつけて拡散→さらに尾ひれがついて拡散…の負の連鎖が、結局在日への悪い印象を助長させているのだろう。
日本の社会的な問題も大きく関わることが示唆されているように感じる。
次回以降はその辺りも検討できれば、と思っている。