葵さんが、叶を亡くし心を無くし、復活し、そして「T」という男の子を産んでまもなく・・・
会社が危機に直面する。
仕事を引き受けたはいいが、元請け会社が倒産の危機だという。
大きな取引のある会社だった。
我が社の売り上げの半分以上が、この元請け会社からの仕事だった。
そんな中、工事は止まることなく続けられた。
社長のトクさんの情報収集はすごくて、この元請け会社の内情をかなり掴んでいた。
そして、トクさんとハルさんが協議を続けていた。
ハルさんは・・・
「施主には迷惑かけられん!うちのやるべき仕事は最後まで貫くべきだ!」
「最後まで貫くというプライドだけは、捨てるわけにはいかねぇ!」
という主張だ。
一方、トクさんは
「今なら被害は小さく済む。手を引くべきだ!」
「生き残りをかけてるんだぞ。みんなの生活を背負う以上、プライドなんて関係ない!」
という主張。
二人は、ぶつかり合いを何度もし、会社の空気は悪くなっていた。
でも結局、社長のトクさんが引く形となった。
そして工事は完成し、直後に元請け会社は倒産した。
ハルさんとトクさん、どちらが悪いというわけでもない・・・
結果的にはトクさんの判断は正解だったのだが・・・
トクさんは全責任は俺にあると言って、我が社は連鎖倒産となる。
我が社が倒産する、少し前・・・
トクさんとハルさんは個人の財をなげうって、
取引会社の支払い、あらゆる人件費、その他もろもろ・・・
どこにも迷惑をかけたくない!という強い想いのため支払いを済ませ。
関連会社の全てを回り、頭を下げて歩いたという・・・
トクさんは、しばらくの間この業界から足を払うということだった。
そして昔から仲の良かった探偵の人と、探偵業を立ち上げる。
ちゃんとした公安委員会の許可を得た探偵会社だ。
その傍ら、ネットでの化粧品販売という二足のワラジでの再スタートとなった。
ハルさんは新たに会社を設立するため、資金集めに奔走した。
多くの借金も余儀なくされた。
そして同じ職の会社を立ち上げる。
元の社員たちには、前会社が倒産したときに、すでに声をかけてあった。
新しく会社を設立するまでに3ヶ月の月日が流れていた。
その3ヶ月の間、前社員の生活を全て面倒みていた。
ハルさんの努力のかいあって、トクさんを除く前会社のスタッフは、
ハルさんの設立した新たな会社に、全員が就職した。
ハルさんは大きな責任を感じていて、全てをなげうってでも、新会社の設立に全てをかけた。
前会社で取引があった所は、ハルさんの人柄と努力で全て戻ってきた。
そして、新たな取引先を増やすことに、家庭を犠牲にし
毎晩のようにお酒の席での営業・・・
昼間は最前線に出て、みんなと同じ作業・・・寝る間も惜しんで働いていた。
そして半年が過ぎる頃には、業績が波に乗り会社運営も軌道に乗っていた。
ハルさんの手腕には、みんな驚くばかりだった。
結果的には家庭をないがしろにし、犠牲にしていた・・・
ハルさんが会社設立したときに、みんなに語った印象的な言葉がある・・・
「この会社は俺が作った。でも俺一人で成り立ってはいない」
「誰しもが小さな歯車かもしれない。でも小さな歯車でも協力し集まれば大きな歯車は動く」
「会社という大きな歯車が動く!」
「これは、みんなの会社だ!」「俺の会社じゃねぇ!みんなの会社だ!」
「報酬も、みんな同等で行こうぜ!」
「だから、どんな小さな歯車でも大切にして行こうぜ!」
「だから俺に力を借してくれなんて言わない!共に力を合わせようぜ!」
こう言った。
実にハルさんらしい。
今でも、このときのビデオ録画がある。
このビデオを見ると、みんなのモチベは最高になったことが分かる・・・
こうして負債などはあっという間に返済し、
軌道に乗り、エキスパート集団の会社は更に成長して行く。
ハルさんが家庭の時間を犠牲にはしていたが、葵さんとの関係は良好のまま続いていた。
そして、葵さんが31歳のとき、女の子を出産する。
葵さんに似て、かわいい女の子だ!
名前は「K」と名付けられた。
葵さんは、相変わらずキレイで言い寄る男も後を絶たなかった。
誰が見ても20代前半にしか見えないほどで、葵さんの歳を言い当てられる人はいなかった。
それから葵さんが33歳になったとき・・・
相変わらずキレイで歳をとらない?って思うほどだった。
ちなみに、この年に俺は結婚する。
真美さんが紹介してくれた女性と、ウマが合って縁あって結婚した。
この葵さんが33歳になったとき、とてつもない悲劇が起こる・・・
このとき病魔に蝕まれていたんだ・・・
そして悲しい悲しい、とても悲しい結末の序章となる年でもあった。
楽しいときは、いつまででも続かなかった・・・
続く