重い話ばかりだったので、一旦ブレイクということで、
ハルさんが、どんな人なのか、ここで詳しく話したいと思います。
前回の話の続きは、次回から書きたいと思います。
俺自身も精神的にキツイモノもあるしね。
このハルさんという人は、極度の方向音痴です。
そして右とか左とかの概念が全くありません。
このハルさん・・・右利き?左利き?と聞くと必ずこう答えます。
「分からん・・・」
ハサミでも箸でもペンでも、手に取った方の手で使用します。
両利きみたいですね。
しかも器用なんです。
右手でも左手でも、同じように器用に使います。
だから同じ作業をしていても、人の倍以上のスピードで作業を終わらせます。
仕事でも同じで、人の倍以上のスピードで仕事をこなしますね。
でも、こんなこともあります・・・
こんなことがありました・・・
仕事で現場に向かう途中、車で移動するのですが、俺と一緒に乗っていたときのことです。
ハルさんの運転で俺は助手席。
現場の場所は俺だけが知っていたので、俺がハルさんの横でナビゲートするんですが・・・
「ハルさん、そこの信号を右折ね」
ハルさんは「うい!」と返事をする。
すると・・・左折するのだ。
ウインカーも左に出すんです・・・
もちろん俺は、こう言います。
「ハルさん、何で左折すんの?右折って言ったじゃん!」
するとハルさんは・・・
「ん?拙者、今左折したか?わりぃわりぃ・・・」
「じゃあグルッと回って、元の道に戻るわ」
普通、元の道に戻るのなら、左折した後に、
左折→左折→左折で、信号機を曲がる前の道に戻りますよね?・・・
でもハルさんは左折した後、右折→右折→右折・・・でも、これで終わりではない。
更に右折→右折→右折・・・
同じ所をグルグル回って、元の道に戻って来れないのだ・・・
それで、こんなことを言う・・・
「あれ?ここ、さっき通ったよな?」
「おかしいな・・・何で戻れねぇんだ?・・・」
・・・全く道を覚えられないし、右とか左の概念がないのです・・・
このハルさんに道を教えるのは、猿に日本語を教えるより難しいと思います。
最後には、「もう、いいよ・・・運転代わるよ」・・・
毎度、このパターンですね。
なんせ子供の頃から慣れた地元でさえ、迷子になる人ですから・・・
こんな子供みたいなところがあります。
でも頭は相当賢いんです・・・
本当にわけの分からない男です。
このハルさんの頭の中は、未だにどうなってるのか理解できません。
「あなたの知らない世界」です。
ここからは、次回から前回の話の続きを語るので、
ハルさんの精神的な面の話をします。
少し重い話かもしれませんが・・・
人は、悲しいことや苦しいことや辛いことがあっても、
「忘れる」ことで前に進めるんだと思ってます。
でもハルさんの場合は少し違う。
どんなに酷い言葉を浴びせられても・・・
苦しくても悲しくても切なくても辛くても・・・
どんな罵声を浴びせられても・・・
愛情も憎悪も全て受け入れ・・・
自分に投げかけられた言葉を全て受け入れて、心にたくさんの傷を負って、
・・・そして全て背負い込み、それでも笑顔で前に進むんです。
何度も何度も過去を振り返り、何度も何度も後ろを振り返り、
そして、ときには立ち止まり・・・
それでも、苦しみも悲しみも切なさも、自分に投げかけられた言葉さえも背負い込み、
全てを胸に刻み笑顔で前に進むんです。
普通なら、そんなに何もかも背負い込んだら、背負いきれなくなって潰れてしまう・・・
潰れてしまって前に進むことなんてできません。
葵さんは生前、若い頃から「言葉の重みを知ることが大切!」ってことを口癖のように言っていました。
ハルさんの影響で葵さんが、その言葉を言っていたのか、
葵さんの影響でハルさんが「言葉の重み」を知り、
どんな酷い言葉でも受け止めてしまうのか?・・・
俺にも分からないんですけどね。
でも、そんなハルさんが、すごくかっこよく思えるんです。
とても俺にはマネできません・・・
バカなやつだと笑う人がいるかもしれません。
だけど俺は、ハルさんの生き方が、とてつもなくかっこいいと思ってます。
だからハルさんが、葵さんを忘れるなんてことはないでしょう・・・
葵さんの思い出を大切にしながら、何度も思い出しながら、
切なさも涙も堪えて、笑顔で前を向いて歩いています。
どんなに時が経っても、その生き方は変わることはないでしょう。
辛い生き方なのかもしれない。
それでも、心のままに・・・ハルさんは心のままに生きる人なんです。
今現在でもハルさんは、
本当にたくさんのモノを背負い、
本当にたくさんの言葉を受け入れ、
何もかも、全ての痛みを力に変えて、前を向いて生きています。
絶望的な状態でも、決して諦めることをせず、たくさんの人を支え、
たくさんの人に支えられながら、前を向いて生きています。
笑顔のままで、心のままに・・・