葵さんの葬儀が始まる前に、トクさんが俺たちの元へやってきて、

 

葵さんの兄ふたりの事を話してくれた。

 

 

 

 

「あの二人はな・・・」

 

「両親を亡くし、葵ちゃんと真美ちゃんの学費を稼ぐために自分たちは大学を辞めたんだ」

 

「そして必死に働いて、生活を支えたんだ・・・」

 

「そんな、かわいい妹に先立たれた」

 

「愛していた妹が先に逝ってしまった・・・」

 

「お兄さん達も悲しくて悲しくて・・・」

 

「それで、ついハルに怒りをぶつけてしまった」

 

「本人たちも頭では解ってるんだよ・・・」

 

「ハルも、それが解ってたから・・・反論もせずに、全ての言葉を受け入れたんだよ・・・」

 

「おまえ達に、分かってやれとは言わんけど、知っててほしかったんだわ・・・」

 

 

 

そんな話をされた・・・

 

 

みんな葵さんを愛してて・・・葵さんが好きだったから悲しくて・・・

 

悲しみが、そうさせてしまったんだ・・・

 

 

俺は胸が締め付けられて・・・どうにかなりそうだった。

 

 

 

そして葵さんの葬儀は、しめやかに執り行われた・・・

 

 

葬儀が終わり、ハルさんが最後の挨拶で締めくくった・・・

 

「今は言葉がありません・・・すいません・・・皆様ありがとうございました!」

 

「少しでいいから・・・葵のこと思い出してやってください・・・」

 

そして、その場にハルさんは、泣き崩れた。

 

 

 

そして出棺の時間になると、ハルさんと息子Tと娘Kは、

 

たくさんの花で埋まった葵さんの棺から、なかなか離れないでいた・・・

 

泣き声だけが響く・・・

 

棺の中に入れられる物は制限されていて、金属などは入れられなかった。

 

ほんとうに、たくさんの花に埋もれた葵さんの顔は、キレイにお化粧されて安らかに眠っていた。

 

今にも目を覚ますんじゃないか?と思ってしまうほどだった。

 

この後、火葬場に行き、お骨を持ち帰り、しめやかに儀が執り行われていった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんなに悲しく長い日は、俺の中で忘れられない日となった。

 

ほんとうに、多くの人にとって、かけがえのない人がこの世を旅立ってしまった。

 

神様なんて、いないんだ・・・本気でそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この後、しばらくは抜け殻のようになってしまったハルさん。

 

でもハルさんの心を癒すことは、誰にもできなかった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く