ハルさんは一命を取り止めた。
しかし、この後・・・
クシャミして折れた肋骨が肺に刺さり、危篤状態に陥り・・・
臓器を繋ぐ動脈?が破裂して、危篤状態・・・
何度も再手術・・・何度も生死を彷徨うのです。
この動脈破裂のときは心停止をし、今度こそ「死」というものから逃れられないと思った。
ハルさんの周りも、医師も、誰もがダメだと思ったという。
しかし・・・このハルさんは生還を果たす。
目が覚めた後にハルさんが語ったことだが、
「一度は死んだ」という話をされた。
ハルさんは手術されている自分自身を、
手術室の部屋の片隅から更には上から眺めていたという・・・
そして自分の「死」を自覚したという。
医師や助手の話し声とかも鮮明に覚えていて、
後に手術をした医師に話して、医師は「ありえない・・・」と驚いたようです。
そして「辛い」「苦しい」「悲しい」とかの負の感情はなく、
なにもかもから解放された気分で、清々しく気持ちいい、温かく心地よかった・・・
と語った。
そして葵さんと亡くなった息子の叶と会ってきたという・・・
会話をし、この世に戻れるよう導かれたという。
とても信じがたい話だが・・・
この人には何か見えない力が働いて、守られているのは間違いないようだ。
俺は心の中で、葵さんと叶に御礼を言った。
そして医師の説明で、頭から離れない言葉があった・・・
「脊髄損傷」
体の自由が奪われてしまう、このワード・・・
気になって気になって仕方なかった。
しかしハルさんは、二週間もすると少しずつではあるが体が動くようになる。
そしてハルさんは回復に向かう。
・・・なんか普通に動いてる・・・
医師も動くのなら心配ないと安心していた。
更に時は経ち、ハルさんはリハビリを始める。
寝たきりだった体が、ここまで回復したのだ。
体が動くようになったハルさんは、もう大人しくしていない・・・
看護士さんや真美さんは本当に大変だった・・・
婦長さんとかは「手に負えない・・・」と、ぼやいていたほどだという。
ナースコール押して、若い女性じゃないと「チェンジ」って言ったり・・・
患者はナンパするは、看護士はナンパするは、
お見舞いに来た人も所構わずナンパするは・・・
勝手にどこか行っちゃって、戻って来れなくなるは・・・
夜になれば、若い女性の看護士に手を握ってもらわないと寝ないは・・・
俺が見舞いに行く度、「タバコ吸いに連れてけ」って聞かないし・・・
もう手が付けられないのです・・・
ハルさん本人は「ここは楽園だぞ!」って喜んでましたが、
何度も真美さんがキレたし、子供達も呆れてたし・・・
婦長は「要注意人物」指定するし・・・
この暴君には、俺も何度も注意しましたが・・・
全く呆れた男です。
そして12月には一度退院できることになりました。
クリスマスも正月も、自宅で迎えることができたようです。
そして正月休みが終わると、普通に社に出勤し、
事務員さんの仕事の邪魔ばかりして怒られ、
普通に事務作業とかし出しました。
ですが通院が義務付けられていたハルさんは、医師のお叱りを受け、
自宅のパソコンで書類製作とかしてくれてました。
しかし時間がかかったのが足の脛の骨折。
骨が折れて皮膚を突き破って出てる状態だったので、
また2月には手術する予定でした。
何はともあれ・・・ここまで回復したハルさんを見て、俺は安堵感に包まれホッとしていました。
この2015年の年・・・
俺は、この人から会社を受け継ぐことになる。
ハルさんは、このとき既に俺に会社譲るつもりでいたという。
俺がハルさんに相談する前から、そう決めていたらしい・・・
この話は、もう少し後のこと。
また後に詳しく話したいと思います