その後、恵さんは結婚し地元を離れこの島へ来たらしい。

 

ハルさんとはそれ以来会っていない。

 

 

 

 

 

 

そして恵さんは妹のお墓参りに行くたび、お寺の住職にハルさんのことを聞かされていたらしい。

 

住職も代替わりしたが、新しい住職からも毎年報告を受けていたらしい。

 

「あのハル君って少年、今年も妹さんのお墓参りに来てたよ」と・・・・

 

 

そう住職から聞かされた恵さんは、ある人にハルさんの心のケアを頼んだらしい。

 

そして、その人がハルさんに心理学を教え込んだということだった。

 

 

 

 

 

そのうちハル君からハルさんと住職が呼ぶ名も変わっていったそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして恵さんはハルさんと会うことはないが、ずっと気にしていたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして真美さんからハルさんの訃報を聞いたということだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これはハルさんがまだ高校生だったときの話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして真美さんはハルさんの娘Kのことを説明する。

 

そして、その後のハルさんの人生も知っている限り話したという。

 

恵さんは泣きながら、真美さんから壮絶だったハルさんの人生を聞いた。

 

そして一言こう言ったという。

 

「ハル君、辛い思いいっぱいしたね・・・でも幸せだったんだね。お疲れ様」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハルさんは愛子さんの分も葵さんの分も精一杯生きたのだろう・・・・・・

 

必死で生きようとがんばったんだね・・・

 

いろいろなもの背負ってさ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして恵さんが真美さんにこう言った。

 

 

なんとしてもKちゃんを戻してあげなくっちゃね

 

明日の朝早くKちゃんを連れてもう一度来て。

 

Kちゃんスイッチいれるよ。そのかわり何があっても真美さんは見守ってるだけにして。

 

ダメ元でいいからあたしを信用して!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌朝、真美さんはKを連れて恵さんのもとを訪れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

恵さんは自分の前にKを座らせ、少し後ろに真美さんを座らせた。

 

そして恵さんがこう言った。

 

さあKちゃんのスイッチ入れるよ!

 

そして・・・・いきなりKの頬を力強く張った!

 

真美さんはとっさに席を立って止めようとしたが、恵さんが手のひらを真美さんに向かって差し出し遮った。

 

 

そしてKに言葉を投げかける!

 

あなたのお父さんは素晴らしい人だった!

 

そしてどこまでも強かった!

 

そしてどこまでも優しかった!

 

あなたの何百倍も悲しい思いをしても、何度も乗り越えてきた!

 

悲しいことを全て背負って生きた!

 

あなたはそんなお父さんの血を引く娘よ!

 

さあ覚醒しなさい!

 

大声を上げて泣きなさい!

 

爆発させなさい!

 

それまであたしはこの手を離さない!

 

穏やかだった恵さんが強く言い放ち、Kを力強く抱きしめた。

 

 

頬を張られたKは呆然とし、しばらく強く恵さんに抱きしめられる。

 

そして小刻みに震えだし大声を上げて泣き出した!

 

Kの感情が爆発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Kは今まで・・・・声も上げることなく静かに無表情で泣くというより、涙を流すだけだった。

 

でも、表情があり感情を爆発させて大声を出して泣き出した!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

恵さんが「スイッチ入ったよ!」と言って優しく抱きしめる。

 

Kは恵さんにしがみつき大声をあげて泣いた。

 

涙を流すではなく泣いたのだ!

 

真美さんは嬉しくて涙が溢れ、止めることができなかったという。

 

 

 

真美さんが言うには、頬を張り感情を揺さぶり起こし、そこに強く語りかけたのだという。

 

そしてKの感情のスイッチは入った。

 

Kの心のスイッチが入った瞬間だった。

 

 

 

 

その後15分ほどKは泣き続けたらしい。

 

真美さんは泣きながら何度も恵さんに「ありがとうございます」と言ったという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

恵さんは真美さんにこう言った。

 

Kちゃんは、まだメインスイッチが入っただけ。

 

ここからは真美さんがサポートして、一つずつゆっくりでいいから感情のスイッチを入れてあげて!

 

Kちゃんの心が望むように旅するのもいいかもね。

 

Kちゃんはハル君の血を強く引いてるよ。だから大丈夫!

 

すべてのスイッチが入る頃、言葉もきっと取り戻してるよ。

 

 

 

そしてKに笑顔が戻ったということなのだ。

 

 

 

 

恵さんって人すげぇ~!

 

いったい何者?

 

俺はその話を聞いて驚愕しました。

 

 

 

 

 

恵さんの話によるとハルさんもショックから感情を閉ざしたことがあったようです。

 

しかし恵さんが頼んだハルさんの心のケアをした人も、ハルさんを揺り起こしたそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Kは転校手続きはしてあって、最低でも定期テストだけは受けさせるようです。

 

そして息子Tの卒業式が終われば、再びその島でしばらく生活するようです。

 

恵さんの話だとKを元に戻すのに2~3年は要するとのこと。

 

まだ13歳のKにとってハルさんの死はそれほど衝撃だったようです。

 

13歳にして血の繋がった両親を失ったのだ・・・・・・仕方ないことなのかもしれない。

 

実母である葵さんの母の愛情も足りないかもしれない。

 

また父の愛情も足りないのかもしれない。

 

でも真美さんがいる!

 

真美さんが足りなくなる愛情を補給してくれると信じている。

 

真美さんなら、それができるような気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それにしても・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真美さんも美香さんも俺も感じたことが一つある・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハルさんが・・・・時空を越え、恵さんの元へKを導いたとしか思えない。

 

偶然がこんなにも重なるものなのか?って思うんです。

 

将雄さんと真美さんを介してKを恵さんのところへ導いたとしか思えない。

 

三人ともが感じたことです・・・・・・

 

 

 

 

 

そして愛子さんを想う気持ちで恵さんと繋がったハルさん。

 

人と人との出会いって不思議ですよね。

 

ハルさんが遠く昔に出会って繋がった恵さん。

 

ずっと会ってなくても心が繋がっていた。

 

そして恵さんの心を動かしたハルさんの純粋な心。

 

そして恵さんが、ハルさんの娘Kの心を動かす。

 

ハルさんは愛子さんを想う強い気持ちだけで、恵さんの心を動かした。

 

そして愛子さんは、ハルさんにこれだけ強い気持ちを抱かせる女性だった・・・

 

こんなことって・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてハルさんが愛子さんのお墓に供え続けた手紙とその内容。

 

愛子さんを亡くしても愛し続けた、ハルさんの気持ちが起こした奇跡なのかもしれない・・・・・

 

俺は知らなかった・・・・・

 

ハルさんは3人の女性を愛して、そして二人の女性は亡くなった後も愛し続けた。

 

そして今・・・真美さんも亡くなったハルさんを愛している・・・

 

真美さんをそこまで魅了してしまったハルさん。

 

真美さんがハルさんに魅了されたのが、なんとなく分かるような気がする。