90年代前半に、初めてNYを旅した。大通りから見える路地裏はホームレスが横たわり、ゴミが散乱。街の臭いと合わさって、早足で歩いた記憶がある。地図や財布を大っぴらに見せない、など色々と気をつけた。当時は昼間のセントラルパークでも怖い事件があったので、希望していたNYへの留学は、すんなり諦めた。

 

週末に早めのバレンタイン、とサンフランシスコでディナーをして、予約していた中心街のユニオンスクエア近くのホテルに泊まった。我が家から、50分の距離。あぁ、しかし、90年代のニューヨークを思い出させるのが今のサンフランシスコ。そして、郊外との格差が確実に出ている。

 

ちなみに私も相棒も、サンフランシスコの中心街で何年も勤務し「やっぱりチャーミングな街だね」という点がいくつもあった。郊外に住んでいる理由は「天気が良いこと(サンフランは霧と冷たい風で夏がない)、家が少し大きいこと」くらいだった。だから、コロナ前はショッピングや食事などで市内に気軽に行っていた。

 

ところが、コロナが始まった頃から「暴力がない限り、1000ドル以下の盗みでは逮捕されない」という驚く法律が施行され、怪しい集団がやって来てアップルストアやスーパーやなどで、一気に商品を鞄に入れて取っていく。最初の頃はニュースで防犯ビデオが公開されていた。店員達は相手に銃がある場合を恐れ、何もしない。警備員でさえ。最近はニュースにもならない。市内の車上あらしは、18秒に1台とかで、どんどん行く機会が減る。市内に住む友達は「夏にね、娘の学校からの通知で、注射針や排泄物が道にあるから、市内ではビーチサンダルで歩かないように、と書いてあったの。まぁ、夏でもここは寒いからサンダルなんて履かないんだけどね」と言っていたが、これも驚きの事実。ちなみに彼女の家は、落ち着いた住宅街にある。市内にも静かな住宅街はあるから、中心地が激変したのだろう。NBCニュースのビデオ

 

 

今回ディナーが金融街だったので、食後はホテルまで歩こうかと話していたが、道に出た途端「Uberを呼ぼう」で一致。危険ではないが、ホームレスしか歩いていない。ユニオンスクエアでUberを降りて、周辺を歩いたが夜8時なのに閑散としている。「夜中まで道には人があふれ、レストランも盛況で安全な雰囲気だったのは観光客だったんだね」と。私達が見たのは、ギラギラした格好の黒人集団やアップルストアと隣接するティファニーの前の数台のパトカー。Belden Placeという地元で人気だったフレンチビストロを集めたストリートにも行ってみた。以前は5〜6軒のお店に行列があったが、土曜の夜8時なのに閉めていたり、閉業していたり。暗い。泊ったホテルは会議やランチなどで行っていたが、正面玄関がまさかの閉鎖。以前は車寄せも兼ねてタクシーやUberの乗客で繁忙な様相だったが、ホームレス対策なのか?宿泊客もレストラン客も駐車場から入る。宿泊フロアも警備員が巡回している。コロナ以降、NYやシカゴに行ったけれど、こんな事ってなかった。もっと活気があった。

 

この法律はカリフォルニア全体で適用されたのだが、サンフランやLAは被害が顕著。あまり変化がない街もあるし、大学が全面再開され逆に活気が戻った街もある。

 

(写真はBusiness Insiders誌から。サンフランシスコの坂道にホームレスが横たわる)

 

<私には政党支持はないが>民主党のリベラルすぎる市長や州知事は、一旦控えてもらって、2000年ごろのNYの様に強制的に腐敗を一掃すべき時期だと思う。保守的な共和党支持者は、高い税金をカリフォルニアで払っても見返りがないことに辟易として、ネバダ州などに家を買って移住している(所得税も低い)。前は他人事に思えたが、わかる気もする。そもそも、国として独立できる財力があるカリフォルニア、と言われているが、裁判や刑務所にお金がかかりすぎるから逮捕しないというロジックが不明。しかも、合法大麻で中毒者からホームレス人口も増える。私はどちらも大反対!プンプンムキー

 

週末楽しいはずだったが、何だか腑に落ちない気分で帰宅。楽しめたのは、ホテルのプールくらい。これなら、ナパかカーメル辺りでのんびりした方が良かったかも。