20歳までピアノを続けたのに、それ以来、全然さわっていない。音楽の才能がないので、やっと少し楽しくなったのが高校卒業してから。しかも音痴な私は、楽譜がないと弾けないし、弾くたびに何年経ってもミスタッチが多く嫌になっていた。それでも、他人の演奏を聴くと「また弾きたいなぁ」と思っていた(今では認知症予防にも…)。

 

私の誕生日に集まってくれたゴールデンガールズの一人、合唱団のピアノ伴奏をしていた90歳のパトリシアが「老人ホームに行く可能性もあるし、電子ピアノを処分しようと思っているの。」「これは亡くなった主人が今のコンドに引っ越した時にグランドピアノは持ってこれなかったから買ってくれたのよ」「主人とは本当に良い思い出ばかり。恋愛時代からね!」と、娘時代からご主人が亡くなった最近の話まで、いつも明るく話してくれる。

 

この話を聞いた途端に「私、買いたい」と言ってしまった。新しい趣味も探していたし弾きたいと思っていたけれど、今さら弾けるのか?そのディナーの席で、周りからも「そうよ!あなたはリサイタルで譜めくりの担当もやったし、良いアイデアだわ」と押され、運送業者まで紹介されて即日決定。

 

後日見に行ったら、パトリシアはお出かけ前で気分が良かったのか「あなたが貰ってくれたら助かるわ〜」と無料になった。中古ピアノは最近どの形でも売るのが難しいらしい。音楽を職業にするいとこも同じことを言っていた(スタインウェイなどは別)。

 

弾いてみると鍵盤の重さや音など、予想以上に良い。スタインウェイでもない、電子ピアノだけどRolandの日本製。私にはこれで十分。

幸せのピアノ、幸せなピアノにしなければ。照れラブ