S8  92-9  叛逆の決意 | レクイエムのブログ

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放送で告げられたもの、それは全てのSWORD隊員にとって信じがたいものだった。盟神がSWORDと共にデモンズを設立したこと、その目的はソロモンと呼ばれる生命体を復活させるためだったこと、そしてSWORDもいずれソロモンの贄にするつもりだったこと、どれも受け止めるにはあまりにも歪すぎる事実だった。


SWORD隊員「え……盟神って…… 嘘だろ……?」

「ソロモンって何だよ……?聞いたことないぞそんなこと……」

「俺達は最初から、バケモノのエサになるために集められたのか……?」


アンナ「そんな……あの人が……?」


一条も信じられなかった。以前会った盟神を思い出すも、とても西園寺が話した恐ろしい計画を実行するためにデモンズを設立した人物とは思えない。西園寺の話は続く。


幸浩『皆が動揺するのも無理はない。私だって、未だに信じられない。だがこれらは本人の口から語られた揺るぎない事実だ。現に、ヤツは今日の奇襲を企て、実行した。 そしてヤツの計画だ。今ソロモンについて急ピッチで調査してもらっているが、もう時間は無い。』


そして西園寺の口から驚くべきことが告げられる。


幸浩『盟神のソロモン復活の準備が整う前に、我々SWORDは総力戦を仕掛ける。』


蒼一郎「総力戦だと?」


すると隊員全員のタブレットに通知が入る。見るととある画像が共有されていた。それは公安部から寄せられたデモンズの本拠地がある都営軽島線の路線図だった。


双牙「これは……!?」


幸浩『都営軽島線。サバトの日で甚大な被害を受け、廃線となった路線だ。そこにデモンズは本拠地を構えているという情報が入った。そこに近日中にSWORDで総攻撃を仕掛ける!作戦等の詳細は近日中に送る。』


剛「なんかスゲェ大事になってきたぞ……!」


燈冶「まさか地下鉄が本拠地だったなんて……早く僕らも事務所に戻ろう。何か隊長から指示があるかもしれないし……」


SWORD隊員「いや、総力戦って……」

「俺、SWORDには安定しているから入ったし……わざわざ敵陣に突っ込むなんて……」


燈冶「!」


西園寺の口から告げられた真実と総力戦の話に、隊員達は未だに動揺を拭えなかった。特に入隊したばかりの隊員達にその様子が顕著に現れていた。


SWORD隊員「確かに今日の強襲にはビックリしたけど……」

「だいたいその情報もどこから出てきたんだ?もし罠だとしたら俺達全滅だろ?」

「ソロモンっていうのも、オカルトすぎるし……」


剛「アイツら……なんでテンション下がるようなこと言うんだろうな?」


燈冶「しょうがないよ。これだけの情報量を一気に出されたら、誰だって整理に時間はかかるし……」


隊員達に動揺が奔るなか、放送の声が変わる。


グリム『皆の理解できない気持ちは分かる。突然こんなことになってしまってすまない。』


剛「!?」


SWORD隊員「え……この声って……?」

「総帥……?」


グリム『1つ、私の話を聞いてほしい。また困惑させてしまうかもしれないが、私の肉体は既に死んでいる。こうして話しているのは、私の意志をプログラムにして保存しているからだ。』


SWORD隊員「え!?総帥って人じゃないのか!?」

「もう何が何だか分からねぇよ……!」


グリム『そして……思い出したんだ。私の体を焼き尽くした犯人を。 紛れもなく、盟神 公由だ。』


アンナ「え!?」


司令室で盟神が見せた、機械を溶かすほどの熱波、それを見た藤本は記憶が蘇っていたのだ。サバトの日、自身の肉体を焼き尽くしたのは盟神だったことを。


グリム『盟神はデモンズとして私を襲った、この時点でSWORD設立の発案者だったとしても、ヤツも倒すべきデモンズということになる。 そして……今一度思いだしてほしい。君達がSWORD隊員であるということを。』


結々子「SWORD隊員であること……?どういうことですの?」


グリム『SWORDに入隊した目的はそれぞれだろう。たとえそれがどんな理由であろうと、SWORD隊員としての使命は果たすべきだ。我々SWORDは危険思想を持つ集団への抑止力だ。 たとえ相手が我々の親とも言える存在だとしても、我々は立ち向かわなければならない。明日を生きる、全ての者達のために。』


黎花「……。」


グリム『総力戦には前線に出るものと支援に回る者を決める。どちらを希望するか、各々考えてくれ。 だが……これだけは言いたい。』


プログラムの声だったとしても、藤本の息を吸い込む音が聞こえてくる。そして一段と大きくなった声で藤本が宣言する。


グリム『我々SWORDは、全てを賭けて今度こそ怨敵デモンズを討つ!!


藤本の発言に皆がざわめくなか、一条の決意は固まっていた。


アンナ(私は……前線で闘う! これ以上……誰も悲しませない!)


楪「……。」


その様子を上ノ原は見ていた。上ノ原も無論闘うつもりだ。しかしそれよりも前に、上ノ原ははっきりさせるべきことがあると思っていた。


楪「アンナ、あなたのこと、教えてもらうわ。」



S8  92  叛逆の決意   完



次回予告

かつての一条は、今の性格からは考えられないような性格をしていた。

一条を変えたのは、たった1つの後悔だった。


93 みんなの笑顔