S8  72-3  仇討ち合戦 | レクイエムのブログ

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その日のうちに猿子隊は動き始めた。本多が遺したGPSを頼りに件の車の捜索を始めた。


玄匠「……あの車か。」


大通りを張っていた三蔵が大型の車を発見する。スマホを開き、本多のデバイスに保存されていた車の映像と確認し、バイクで追跡を始める。


玄匠「三蔵、例の車を発見。このまま追跡する。」


烈火『了解。 停車位置が分かったらすぐに共有しろ。全員そっちに向かわせる。』


車が何処に行こうと見逃さないため、既に街中に大通りを中心にした猿子隊の包囲網が完成していた。車の後ろを気取られないよう三蔵は追跡する。


玄匠(確か、関取の兄ちゃんの話だとあの車は後部座席からでも後ろを確認できるんだったな。後ろからだと誰が乗ってるか分かんねぇな……)


すると、大通りを走っていた車が右折し、大通りから外れようとする。その後を追おうとしたとき、車の中が見えた。


玄匠「後部座席には……誰もいねぇな。運転手も吾妻じゃねぇ。」


車には吾妻は乗っていなかった。しかし大通りを外れたところを見ると、後ほどどこかで吾妻を拾うかもしれない。引き続き三蔵は追跡を始める。すると車はとある空き地の前で曲がり、その中へ入っていく。


玄匠「待て。ここって……」


その場所は三蔵だけでなく、猿子隊全員にとってよく知った場所だった。


玄匠「隊長。車だが、〔亜布雨須〕の集会場に入った。」


烈火「何でそんな所に入った? ……まぁいい。お前は車に近寄らなくていい。俺らが駆けつけるまで敷地には入るな。」


玄匠「了解。」


それから数十分後、三蔵が告げた空き地へ猿子隊の隊員達が駆けつけてきた。空き地の中央で停車している車が動く気配はない。


玄匠「ここは周囲を囲われていて出入り口はこの一カ所だけだ。逃げそうになったら引きずり出しても尋問するぞ。」


秀悟「了解。」


烈火「お前ら、罠の可能性もある。警戒は怠るなよ?」


猿子の指示で隊員達は空き地へと足を踏み入れる。停車している車の中にはまだ運転手がいる。運転席側の扉を猪原が蹴りつける。


八戒「ちょっと降りてきなアンタ!!この車、誰のだい!?」


「ひぃぃぃ!バケモノだぁ!」


秀悟「おー人の女をバケモノ呼ばわりかぁ。兄ちゃん度胸あるなぁ。 お話ししようや。」


玄匠(猪原の蹴りで凹みすらしねぇか。防弾仕様ってことはやっぱりただの車じゃねぇな。)


頑なに降りてこようとしない運転手へ猿子隊の警戒心が上がる。すると運転手の男はどこかへ電話をかけ始めた。


「あっ、あの!!今SWORDに囲まれました!このあとどうすれば……」


烈火「あ?何処に電話かけてやがる?」


八戒「電話かけてる場合か!アタシらが出てこいって言ってるんだから出てきな!!」


???『えぇ。こっちで確認したわ。 助手席にアタッシュケースがあるでしょ?そこに銃があるわ。』


「えっ、本当ですか!? ありがとうございます!」


電話を終えた運転手が慌てた様子で助手席に置かれていた小さめのアタッシュケースを手に取り、勢いよく開けようとする。その光景を見た途端、猿子が声を上げる。


烈火「お前ら!すぐに車から離れろ!!」


八戒&秀悟「「!!」」


その時、アタッシュケースが開く。そこにあったのは銃ではなかった。中に入っていたのは液晶画面だった。液晶画面に〔起爆〕の文字が表示されると同時、けたたましい機械音が響く。


「……え」


その瞬間、車が激しい炎と共に大爆発を起こした。周囲に爆風が吹き荒れる。猿子が違和感に気付いたおかげで、誰も爆発に巻き込まれずに済んだ。


烈火「野郎……!部下ごと吹き飛ばしやがった!!」


その一部始終を空き地近くのホテルから見ている者がいた。吾妻だ。これは吾妻の仕組んだ罠だったのだ。


千狛瑠「私がGPSに気付いてないとでも思った?しかし、さすが猿子隊。爆弾じゃ誰も吹き飛ばないわね。 まぁ、〔本命〕はここからだけど。」



玄匠「隊長!アレを!」


爆破に気を取られていたものの、すぐさま三蔵が声を上げる。その先には、入口からぞろぞろと入ってくるデモンズの姿があった。しかもそれを率いているのは、2人の幹部だった。


茶糖子「あーあ、爆発失敗してるじゃないデスか。 もっと引き寄せろっての。」


雷汰「猿子隊か。星降隊が出てくると思っていたが…… これはこれでいい。腕が鳴る。」


五十嵐と御堂、どちらも吾妻派屈指の武闘派幹部だ。


千狛瑠『五十嵐、御堂。猿子隊を確実に殲滅しなさい。』


茶糖子「はぁい♡確実に始末いたします♡」


雷汰「さて……潰されたいヤツから前に出ろ。」


玄匠「いきなり幹部2人がかりで来たか。」


烈火「上等じゃねぇか。 お前ら気合い入れろぉ!!ウチにケンカ売ったらどうなるか分からせてやるぞ!!」