鎌倉高校の脇を通り抜け、国道134号線に出る。
大船方面から鎌倉に出る時は、いつもこのルートと決めている。
鎌倉までは平日でも渋滞するし、

江ノ電の踏切と、134号線への合流のタイミングが難しいのもやっかいだ。
晴れた日は特に混雑が激しく、車は進まない。
それでも僕はこのルートを選び、
ワクワクしながら車を走らせ、134号線を目指す。
なぜなら、
高台のカーブを曲がったあとに広がる
あの景色が見たいから。
坂の下に広がる、キラキラと輝くあの海が。
そして、
もちろん、
今日も同じルートで鎌倉を目指していたけど、
気持ちはいつもと違っていた。
いつものワクワクと、
新たなドキドキを抱えた僕と、
彼女を助手席に乗せて、
車はゆるやかなカーブを曲がり、
坂道にさしかかった。
『わぁ、素敵。』
彼女が予想通り声を上げた。

(続く)