三年ほど、スケジュール調整をしての漸くの訪問です
まずもって
酒質の前に、歴史好きの自分としては
確実に飛びつく銘柄名ですし、
蔵の最寄駅に降り立った時点から
テンションが上がるツールが多いです(≧▽≦)
いつも思うのですが、近畿地方には要所要所で歴史の雰囲気を醸す配慮があり
個人的に萌えます♪
蔵は滋賀県の北部、長浜市にあって、京都から北陸にぬける北国街道に寄り添っています。
銘柄の≪七本鎗≫は
日本戦国時代、本能寺の変後、山崎の戦いを経た羽柴秀吉が
旧織田家政権下の後継争いで北陸は加賀国=石川県周辺に勢力をもった
柴田勝家との一戦、賤ヶ岳の戦いに由来します。
現在使用している≪七本鎗≫の銘の書体はあの
蔵元の冨田泰伸専務はスマートに髭をたくわえた風貌とその斬新な感性で
人間性自体も人気がある方ですが、
自分はその冨田専務が造る≪七本鎗≫の不思議な個性が
近年もの凄く気になっていました。
何といっても冨田専務がこだわるのは「テロワール」。
元々はワイン業界のフランス語で、その土地らしさ、といった意味合い。
今までもほぼ滋賀県の湖北と呼ばれる一帯の米しか使用していませんでしたが
近年は全量湖北の米になったそうです。
しかも慣行農法にとらわれない、冨田専務と同世代の農家達もいるようで
掲げるテロワールの表現は着実に前進していると感じました。
通年15度でとくとくと湧き続けるそれを軽めの濾過を掛けて仕込みから洗いにまで使用。
仕込みタンクは小仕込み用のサイズだけ、、、というか
蔵自体のサイズが小さくて大きなタンクは置けませんね(汗)
調合用タンクの使用もちゃんとローテンション組まないと大変な事に。
仕込期間は小規模蔵としては長い約半年間。頑張りましょう!
そして驚いたのが蔵人の若さ。
冨田専務を除くと、30代一人に20代三人!あとは造りの最盛期に能登から杜氏が来るとか。
その体制で造りをやりくりする冨田専務の力量が光ります。
蔵の設備機器自体は特別なものはありませんが、
とにかく蔵が大きくはないのでパンパンにモノが置いている環境下で
蔵内を見学させてもらって
冨田専務と共に≪七本鎗≫を20種近く飲みます。
そこでやっと理解したのは
≪七本鎗≫が本当の意味で「地」酒であるという事。
基本的に≪七本鎗≫は比較的熟成期間を長く取っても
その酒質の根本がブレません。変化も緩やかです。
Sakeの熟成は残存の酵母や酵素が作用しての
アミノ酸やグルコースの増加が基本。その熟成の速度が≪七本鎗≫は遅いのです。
好みはあるでしょうが、自分としては時間がかかりますが
望ましい熟成ピークを狙いやすいので好きでして、
各種飲ませてもらった中で冨田専務にその感想を投げかけると素早いレスポンスで
「米ですね」
主力である滋賀県産の酒米である玉栄は醸造中非常に解けにくいそうです。
それが近年の温暖化もありその傾向は一層だと。
だからといって、それを使わないという事はありません。
それは滋賀県の、信頼おける農家達と共に汗を流して作り上げてきた米だから。
しかも慣行農法でない米は、化学肥料による米粒の過剰な肥大化もなく引き締まり、
過剰なアミノ酸も醸造過程で発生しにくいでしょう。
それを醸造技術でどうにでも出来るでしょうが
その現実に則って醸されるのが≪七本鎗≫であり、それ以上でもそれ以下でもありません。
自分にとって、もの凄く親しみやすい酒質では決してないのですが
なんとなく落ち着く味だなぁと感じていたのは、青森県は田舎出身の自分が味わう
滋賀県は湖北のローカル色が出た地酒だからなんだと思ったのです。
変な例えですが(笑)
それはきっと日本人の大半の皆様がそう感じるのではないかと思います。
敢えていえば意識している味わいは酸味との事。
現代日本の食卓において、やはり酸味は重要です。激しく同意!
皆様、是非機会があれば≪七本鎗≫、味わって頂きたいです。
何故なら今現在でも海外10ヶ国・地域ほどに輸出されている≪七本鎗≫、
海外販売比率も結構高いですから、その傾向が益々進むと
日本国内で飲めなくなってしまうかも!?!?!?
冨田専務、今後とも国内流通も宜しくお願いしますねm(- -)m
そして仕込中のお忙しい中、スタッフの方々にお世話になりました。
みなぎるパワーで冬の期間を乗り越えられるのを願っています。
ありがとうございました\(^o^)/
あ、我が盟友のサインが♪
さて、冨田専務と共に蔵人さん達と一献交わしていて
そこで隠れMVP的に盛り上がったネタは日本酒バー。
日本全国に面白い日本酒バーがあるという内容で話に華が咲いたのですが、
ちょうど滋賀での自分の宿泊地の近くにもあるという事なので
台風26号と事故の影響で大幅にダイヤが乱れる大雨の中、行ってきました。
そちらは現在はラウンジバーと称していますが以前は
ガールズバー。まぁ結局は今も女性しかいません。
オーナーの中村さんが利き酒師を取得してSakeに対して愛情深く、
現場でお酒の提案をしています。
中村さん曰く、滋賀県のSakeしか置かない店で
≪伯楽星≫だけ好きで扱っていたら2011.3.11。
当時で出来る事をしたいと義捐金を集めてわざわざ三本木まで届けに行ったとか。
そういう≪伯楽星≫への愛をまさか滋賀で聞けるとは思わず
ついつい飲み過ぎちゃいました(笑)
城好きの自分ですが
台風の影響もあり天下の彦根城はかなりの駆け足での見物。
無念なり。