2025年、7月。
あと数ヶ月もすれば、夫と別居してから約2年になる。
互いの生活スタイルはすでに固まり、気づけばこれが“日常”になっていた。
人は、良くも悪くも慣れていくものだと思う。
夫とのやり取りは、LINEだけ。
必要最低限の連絡事項を交わす程度で、返ってくるのは「はい」「わかりました」といった短い言葉かリアクションのみ。
おそらく、過去のLINEが証拠として使われたことを知っているのだろう。
私が訴訟の中で、女性側にLINEの些細なやり取りまで提出していたからだ。
きっとその内容も逐一夫に見せ、共有していたのだと思う。だからもう、言葉を残したくないのだろう。
本来なら裏切られた側のはずなのに、気づけばこちらが言葉を選び、気を遣う側になっていた。
私が加害者のようだ。
女性は謝罪するどころか、すぐ弁護士の元へ駆け込み、徹底して保身を貫いた。その姿勢は、今でも腹立たしい。
匿名でさりげない嫌がらせでもしてやろうか。足が付かない程度に、不快感だけ残るようなことを。
——そんなことを考えた日もあった。
もちろん実際にはやっていない。
けれど、それくらいドス黒い感情が自分の中にあったし、今でもなくならない。
それでも私は仕事をし、家事もこなし、友人と会い、美容やピラティスにも通い、外から見ればごく普通に日常を楽しんでいる人間に見えたと思う。
だが、喜びの感情は消え、本当に心から楽しいと感じることは無かった。
——夏休みに入る少し前。
子どもが、学校から帰宅するなり言った。
「俺、医学部行くわ。お父さんと同じ医者になる」