別のこととは、空間を変えることだった。



思い出が詰まった物でも、それを見るたびに嫌な記憶が蘇るなら手放した方がいい——そんな話を聞いたことがある。


だから私は、片付けではなく徹底的に断捨離をしたくなった。


普段から掃除はマメにしている方だと思う。

けれど、今回は「目指せ!ホテルライク」をテーマにインテリアコーディネーターに入ってもらい、LDKの配置から見直すことにした。



今まで使っていたダイニングセットは手放し、新しくカリモク家具で特別オーダーしたものを入れた。

2人暮らしには少し大きすぎるくらいのサイズ。以前の1.5倍はある。


「こんなに人来るの?」

子供から言われてしまった。——確かに(納得)


それでも、不思議とその大きさが心地よかった。

ベンチも作ってもらったのだが、これが驚くほど座り心地がいい。


ソファは全部を残さず、一部だけを解体して残した。


観葉植物、間接照明、ラグマット。
ひとつひとつ、納得するまで時間をかけて選び直した。


数ヶ月後、気づけば部屋の印象はまるごと変わっていた。


グリーンやダークブラウン、アイボリー、グレーを基調にして、オレンジやマスタード、ブラックを差し色にした。
以前より少しだけ静かで、でも少しだけ深くなった気がする。


子供にも「あれ?こんなに広かったんだ」と驚かれた。

まるで別の場所みたいだそうだ。


今、この空間でコーヒーを飲む時間が、何よりの贅沢になっている。



それでも時々、この静けさの中でふと立ち止まることがある。整えたはずの部屋に、まだ整理しきれていない何かが残っている気がするのだ。

その違和感が何なのか、まだ自分でも判らない。



ただひとつ確かなのは——

この物語(私の人生)は、まだ途中だということ。




——2025年、初夏。。。