シンガポールで駐在生活を送っている方の中には、
日本への一時帰国中に歯科定期健診を受けてから、
そしてまたシンガポールに戻ってこられる方が多いようですが、
中には、
えぇ?こんなに大きな虫歯がまだお口の中に残っているよ!!!
という状態の患者さんによくお目にかかります。
そこの歯医者、
この患者さんは1週間やそこらの一時滞在だから、
どうせ虫歯が発見されてもうちでは治療する時間が取れないだろうし・・・
といった、歯医者の身勝手な理由から指摘しなかったのでしょうか?
いえいえ、
検診=虫歯・歯周病・悪いところの発見=患者さんの健康なお口の中のため
それを牛耳るのが歯医者なのだから、
定期健診に訪れた患者さんの、
そのお口の中に潜む、特に大きな大きな虫歯を見落とすとは、
プロの歯医者としては失格です。
(しかし、小さな虫歯の場合には現に、治すべきか否かの価値基準がやや違う事があるので、その点白黒つけがたい。)
そして実際のところ、
大きな虫歯の見落としがされている場合には、
レントゲンを撮影していないことが多いです。
つい最近のケースでは、
当院にてインビザライン矯正治療を始めたばかりの患者さん。
矯正を始める前の一時帰国で検診してもらった時には問題なしとのことだったようですが、
当院で矯正用にレントゲン写真を撮ってみると・・・、
こんなところに無茶苦茶大きな虫歯がまだ潜んでいるよ!!
と、患者さんにとっては寝耳に水状態に。
でも、レントゲン写真は嘘をつきません。
↓これのどこが虫歯かわかりますか?もう一目瞭然ですよね。
そしてこの患者さんに「日本でのその時の検診時にはちゃんとこうしたレントゲン写真は撮ったの?」
と聞いてみると、やはり撮らなかったとのこと。
より詳しく描出されるデンタル写真(小さいタイプ)を撮影してみると、
上の一番奥歯の、以前隣に親知らずが重なって生えていえたところ(この時はすでに抜歯済み)が虫歯になってしまっています。
肉眼で見ると、確かに見落としてしまいそうなくらいの場所に潜んでいるのですが、
後ろ側の歯茎の際まで注意深く見れば、歯医者なら誰でもわかります。
こんなに大きな虫歯を後少しでも放っておくと、
じきに神経まで虫歯が達してしまい、ジクジク凍みたり痛みが出てきて、
神経を抜かざるを得なくなってしまう事になりかねませんから、
インビザライン矯正中でも急遽虫歯治療に取り掛かることに!
まさに一番奥の歯の更に後ろ側の根本なので、もうやり辛いったら・・・!
でも、患者さんもお口を最大に開けなきゃならないでしょうから、しんどかったことでしょう。
黒いところが虫歯で汚染され柔らかくなった歯の部分。
だいぶん虫歯が取り切れてきました。
そして、完全に虫歯が取れた後は、
ここに詰め物を入れてかたちを補います。
ここで私の得意技~!!
インビザライン中の虫歯治療は基本出来ない?!とか思われがちですが、
全然問題なく出来てしまうのですね~。
むしろ、私はこの、インビザライン中の虫歯の治療法が気に入っています
どうするかというと、
インビザライン矯正には患者さんの歯型に精密にフィットするアライナー(マウスピース)を使用するでしょう。
このアライナーを、詰める際の型枠として利用するのです。
そうすれば、虫歯の治療後も、始めの歯の形と一切変わることがありません。
ですからもちろん、そのまま矯正も引き続き問題なく行えます。
しかも!
アライナーを型枠として使うと、何ともまぁ詰め物が、キレイピッタリと歯に収まることか!!
この時の充填材料としては、デュアルキュアのグラスアイオノマーを使います。
そうすれば、元々歯質接着性も優れているセメントなので、脱離の心配も少なくて済みますし、
だから、健康な歯を余分に削ることなく、ミニマル・インターベンション(最小限の侵襲)の治療が実現できますし、
そして更に、フッ素による歯質強化虫歯予防効果も期待できますしね!
こんな感じ↓に詰め物が仕上がります。
案外、きちっりと良い詰め物に仕上がっているでしょ?
歯茎がただれているのは、
歯茎の下にまで虫歯が広がっていたために、ファイルにてその部分のセメントをキレイに磨いたためにできたものです。
こういうのは2~3日もすれば普通に治ってくれますからね。
そして、詰めた後のレントゲン写真↓
神経すれすれまで詰め物が入っているのがわかりますね。
あと、少し歯茎の際のところで段差のように見える部分があるため、
また時間を改めて、そこは少し調整すると思います。
ただ、フロスでは段差を触知するまででもないのですが、念のためにネ。
というわけでした
歯科の検診時には、絶対にレントゲンを撮ってもらって下さいね
Love & Protect Your Teeth