「価値観」
これはよく、価値観の違いという使われ方で、
離婚の場面なんかでよく使われたりしていますが・・・、
私も、うちのイギリス人とはよく、
お互いの価値観の違いについて、討論をすることがあります。
お国が違うことはもっぱら、
若干?私よりもお年が上な彼なので、
普段から、価値観の違いを感じる事があって当然です。
けれども、それが別れの原因に未だ至っていないのは、
お互いをより理解し受け入れようというところに向かって、
価値観の違いについて討論している次元だからだと思います。
あ、これは余計でしたかしら?
さて、そんな私たちの価値観の違いの一つには、
「食に対する思い」
というものがあります。
彼はどちらかというと、味には無頓着なんです。
味よりも、お洒落なシチュエーションとかなんかよりも、
愛する人と一緒である事が一番大切!というスタンスなので
一緒ならば、どんな場所でもどんな味でも(超不味いはさすがに除外ですが)
関係ないじゃあないか!
という考え。
一方、私はというと、
せっかくお金を払って食べるのなら、
それが高かろうと安かろうと、
シェフの料理に対するパッションが感じられる、感動させてくれる料理が食べたい!
逆に、大した料理じゃなければ、家で作って食べたほうがまし!
という考え。
ロマンスのない現実派ですねxxx
旅先での成り行きに任せて入るランチなら、
味はともかく、旅の雰囲気を満喫できるだけの場所でよいかもしれません。
しかし、大抵そのような観光客狙いのレストランは、
サービスも味も衛生面も・・・、結局適当であることが本当に多い。
食の都フランスでさえも。。。
いつか、こうした報道を目にしました。
フランスの外食産業の80%近くが、
業務用として事前に作られた出来合いのスープやソースを温めなおすだけらしいと。
だからこそ今は、料理はすべて自家製という意味のFait maisonマークを導入するお店も増えてきました。
私は外食するなら、このFait Maisonじゃなければ意味がない、とまで思いますし、
シェフの食に対するパッションとやらを痛に感じたいものです。
さて、そんな折に役立つのが、ミシュランガイド。
今ではネットででも全部チェックできるのでとても便利になりました。
TripAdvisorもよいけれど、
あれは、レヴューを残す人たちの評価基準が統一されていないので、
完全には頼れません。
星付きレストランはもちろんですが、
星はないけれどもお薦めなレストラン、というのも掲載されており、
シチュエーションのバラエティーに応じて、
味は保証つきのレストランが、いろいろと検索できます。
さて、せかっくの夏のバカンスですから、一度くらいはそうしたレストラン、
つまり星付きレストランを堪能せずにはいられないのが、味にこだわる私。
というわけで、彼を説得して特別ディナーに訪れたのは、
滞在している町Beaulieu sur Mer ボーリューシューメールにある
とっても素敵なこじんまりとした5つ星ホテル
La Reserve de Beaulieu & Spaのメインダイニング
Le restaurant des Rois
以前にも来た事がありますので、その内容は過去記事にも出ております。
こちらは1つ星レストラン。
ちょうど昨年暮れに、シェフ・ド・クイジンChef de cuisineが変わり、
それ以来初めての訪問でしたので、来てみたいと以前より思っていたのです。
↓こんな素敵な、海を眺めながらのテラスダイニング
では、お食事の様子をお写真を交えながらご紹介しますね。
Dinnerの前には中庭で、アペリティフ。
この日のシャンパンチョイスは、Taitteinger Brut、Rose、Dom Perignonの3種。
そのうち、私はBrutを。
ここでは、Dinnerのメニューを選んでオーダーしておきます。
メニューは2種類渡されます、値段表示のものと表示なしのもの。
もちろん表示なしの方は、通常女性に渡されます。
が、私たちの場合には、そうされる必要はありませんでした(笑)。
Dinnerは3種類のセットコース、そしてアラカルトです。
私たちは、ワインとのペアリング・コース(シグニチャー)にしました。
シェフのベスト・クリエーションを堪能するには、それが最善の方法だと思いますし、
またワインも、お料理とのマリアージュを堪能できるソムリエお薦めのものが無難だと思っていますので(特にワインにこだわりがなければ)。
シャンパンを飲み終えたら、Dinnerダイニングへ移動です。
こうした南フランスは1等地の、5ツ星ホテルの星付きレストランの場合、
余程の顔馴染みにならない限りは、
英語ばかりでピーチクパーチク喋っているお客は、どうやら端っこに通されるよう(笑)
始めに通されたテーブルはちょっと端っこ目で、周りのテーブルからは英語ばかりが聞こえてきましたから。
でも、そうした扱いが気にそぐわないうちのイギリス人のおかげで、
お席を真ん中のほうに移動した私たちでした。
さて、お料理の紹介です。
↓こちらが、アミューズ~デザートまでのすべてのお料理と、ワインです。
(プチフール&コーヒーは省略)
以前のシェフはとてもクラシックなお料理を出していましたが、
新しいシェフのお料理はそれに比べると、とても斬新なコンテンポラリーなスタイルでした。
どちらかというと、面白みと驚きをも兼ね備えたお料理という意味で、ハインツベックと少し似ているように感じました。
こういうクリエーティブな要素が高いお料理であることも、評価される一つの基準なのでしょうね。
アミューズからして斬新な発想をお料理に感じることができました。
中でも、バターと並んで出てきたペースト状のオリーブオイルは初めてでしたし、
半熟状の卵黄が、ホイップされボール状に固められた卵白の中央部に収められている不思議な卵料理は、Egg Mysteryと名付けられているほどに不思議なお料理でした。
お魚料理のシトラスのきいたソース、そしてピジョンのオレンジの風味が香るソース、
これらはもう、プロだからこそ作り出せる絶品のお味で、それはそれは感動的でした。
今まで苦手として手をつけなかったシェーブルチーズですが、フランスではこれこそがチーズの王様ゆえに試さないわけがありません。
(なぜならチーズカートに乗せられたチーズの半分以上が、シェーブルなんですもの。)
初心者の私向けにと切り分けてくれたそれらは、コンフィチュールと一緒にいただくとそれはそれは絶品でした。
最後のデザートもさっぱりとしたレモンのケーキで、リモンチェロとともに完食でした。
夏でしたし、全体的にさっぱりとしたお味付けでしたので、
食後も苦しくなる事がまったくなく快適でした。
(お酒はたくさん入りましたので、かなり酔っていましたが。。。)
何だか長々と、お料理評論を書きすぎてしまいましたね。
本職は歯医者だという事をついつい忘れてしまっていました。
でも、こうして思い出しながら書くだけで、今にもあの素晴らしいお味が私の口中に甦ってきそうで、さすがに唾が溢れてきてしまいました。
それほど、Mouth-Wateringなお料理だったということです。
というわけで、私の趣味的、1つ星レストランのお料理紹介記事でした。
ところで余談ですが、こちらのホテルのSisterホテルがサントロペにありまして、
そちらのメインダイニングは3つ星なんですって。
これで1つ星なら3つ星はいったいどのようなものなのだろうか?
と、とても興味が沸いてしまいます。
が、3つ星クラスになると、お値段も☆☆☆・・・X!!
ハハッ、こちらはまだまだ先の夢にとっておくとしましょう。
お料理に対する価値観の違ううちのイギリス人を、また説得するのも大変そうですしね。