虫歯って、小さいうちは何にも症状が出ないから、厄介なんですよね。
虫歯の有無を、自分の目で見ることのできる範囲も限られているし・・・。
だから、歯医者さんでの4ヶ月ごとの定期チェックが必要なんですね。(というのは周知の事実ですよね)
しかしながら、最近私が目にする事が多いのは、すでに治療修復されていて銀の金属の詰め物が入っている、その下で、虫歯が進行しているというケース。
ここで紹介するケースもその一つ。
ケース1
30歳の女性です、
2~3日前より、急に右下の6番目の奥歯に次のような違和感を感じるようになりました。
冷たいものが凍みる。
噛むと鈍い痛み。
歯と歯の間に何かが挟まっているような感じが続いている。
という事でした。
そこで、口腔内カメラでよくよく覗いてみると、
6と7番目の歯と歯の間のところの一部分が、他の部分と比べて、やや色が違います。
その部分をよくよく見ると、亀裂が入っていて、エナメル質の一部が欠けてしまい、小さな器具で触ると、欠片となった部分が少し動くのが確認できました。
この患者さんは、日ごろからグ~っと食いしばってしまう癖があるとの事です。
亀裂のところに黒い部分が見えるので、歯と歯の間に虫歯が出来て弱くなってしまったところに上の歯がコツンと強く当たったか、硬い食べ物を食べた拍子に、虫歯の部分が割れてしまったんでしょうね。
この金属は、もう10年以上前に治療した部分とのことでした。
だから、金属も含めて除去し、虫歯を治療する事になりました。
金属を除去してみると・・・あら!その下には虫歯を発見
奥側の歯と歯の間だけの虫歯と思ったら、こんなところにも虫歯が存在していました。
茶色く変色しているところが虫歯ですね。
虫歯になっていない歯(象牙質)部分は、通常黄色っぽい色を呈しています。
この患者さんは、奥の歯が一部欠けた事で、初めて異常を感じましたが、それまで金属の下で虫歯が進行していたなんて、全く症状もなかったので、自覚なんてしていませんでした。
でも、幸い、まだ痛みのない浅い虫歯で、神経に危害を一切加えることなく、虫歯の部分を綺麗に削りとってその部分を修復する事だけで事なきを得ました。
虫歯は取り残しがないよう、きれいに全部除去し、よく消毒してから、神経を保護するセメントを少し充填してから、歯と同じ色合いをした審美的な詰め物をいれて終了です。
今回使ったのは、歯と近似した白い素材のうち、硬質レジンと呼ばれる、強度的に強い優れたプラスチック樹脂です。
この素材のメリットは、硬いものをバリバリと噛んだり、くいしばり、歯軋りをするような強い咬合力を持つ人でも、セラミクスのように破折したり欠けたりする事がほとんどない事です。
だから、強い力が加わる奥歯大臼歯などに好んで使われる素材です。
ほら、前後の金属製の詰め物に比べて、歯の色と一緒だから、とても審美的で自然でしょ
このように、金属の詰め物の下で虫歯になった場合、発見が遅れてしまいがちなのが大きな痛手。
だから、レントゲン写真を撮って金属の下の部分に異常がないかどうか、定期的に歯医者さんでチェックする事は非常に大切。
でも、こうした金属の下にできる虫歯って、長い時間をかけて徐々に徐々に進行する事がほとんどで、結構大きく進行してからでないと、歯医者さんでも虫歯の有無の断定って、難しいことがほとんど。
結局、虫歯っぽいな~というレントゲン写真像くらいでは、よほどの大きなものでない限りは、100%断言しずらいというわけ。
だから、100%の虫歯の診断は、やっぱり金属を外して、目で直視して確認するのが一番です。
特に、クラウンのような歯のすべてを覆い被せるタイプ、さらにはすでに神経を取ってしまっている歯の場合には、レントゲン写真では、その内部の虫歯の有無を確認する事はほとんど不可能です。
つまり、10年以上も前に治療をした金属の修復物の場合には、なるべく一度除去して、中身を確認して、新しいものに作り変えることをお薦めします。
と言っても、10年たってもまったく問題のないものと、そうでないものがもちろんあるわけで、それは私自身歯医者の視点から言わせてもらうと、上手で丁寧な歯医者に治療をしてもらったか否か、もしくは、患者さんご本人のお口の中の環境に由来するところがかなり大きかったりもする。
実は、歯医者は、患者さんのお口の中の過去の治療状況を見て、いっぱつでその人が今まで良い歯医者さんにかかっていたかそうでないかが分かってしまう。
残念ながら、患者さん自身は、これは分かりづらいものです・・・。
だって、自分のお口の歯なんて、実際どうなっているか、見えないでしょ。
日本人として私はあまり否定はしたくないけれど、現在の日本の歯科医療は保険がベースとなっている為、比較的安価な歯科治療だから、流れ作業的量的生産で行われている治療が殆ど。
だから、そうした背景に悪影響を受けた心もとない歯科医が、乱雑な不適切な治療を行ってしまった場合は、こうして治療後数年経ってから、必ずと言っていいほどその歪み、つまりは再治療が必要な状況に陥ってしまう。
そして、こうして再治療を繰り返しすることで、二度と再生する事のない歯は徐々に蝕まれていき、散々な結果を迎えてしまったりもするのです。
そうした自体をなるべく回避する為には・・・
①大切な歯はお金には代えられない。高額な治療費を払ってでも、腕のよい専門的な歯科医に治療見てもらうこと。(しかし、治療費が高いからと言って、必ずしもその先生が優れているとは限らない!)
②先生と、お互いに深い信頼関係を築き、よりしっかりとした密接な人間関係を作る。誠意を持って接し会え、信頼と責任感が強く樹立するような人間関係を築ける歯医者さんに診てもらう。
③②をすでに樹立している知人にその歯医者さんを紹介してもらう。
④根本的に、虫歯にならないよう徹底的に予防する!
という具合かな
何はともあれ、歯医者と患者さんも、よき人間関係が築きあえるかどうかってすごく重要。
人対人だからね。
自分の歯って、どうなっているか自分では分からないし、まして、治療する事も出来ない。
虫歯や歯周病になってしまったら、自分でそれをとめる事もできず、歯医者に行かなければ進行するばかりで、悪化するばかり・・・。
だから、歯医者に定期的に行く事が必要なのです。
しかも、信頼の置けるしっかりした歯医者さんにね