モヒカン | 進藤祐光の多事争論

進藤祐光の多事争論

世の中を見つめるカメラになりたい


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今いる場所が最適な環境なのか?など不毛な事を考えだすと水面に浮かぶ根無し草のような、男はつらいよの風天の寅次郎のような、なんとも言えない雰囲気の哀愁を想像してしまう。

その得体の知れない雰囲気はどこからくるものなのか?
あの人は何者なの?
なんか変わってそう。
近づきがたい雰囲気。
とか言われてそうな感じ。

隣の畑がよく見えるという言葉があるが隣の畑さえないかもしれない現状で今ある環境がベストだと言い聞かせて生活している人が大半なのか?などはわからないが、自分の本当の居場所はどこにあるのだろうか?と、ふと考える事がある。

見えているのに見えない。もしくは見えているのに見たくない。もしくは何も気づいてないのかもしれない。


今日は初夏の陽気でとても気持ちがいい晴天だった。
すぐ近くにあるぐるっと1周すると2kmの水辺を歩ける公園をカメラを持って歩いた。
公園は毎年綺麗に整備され、自転車コース、ランナーコース、ウォーキングコース、動物と一緒に歩けるお散歩コースと楽しめるようになっている。
途中、美術館があり草間彌生さんの黄色と黒のドットが特徴の毒カボチャ像が鎮座している。たまに子供がよじ登っている。

市民の憩いの場である公園で13時頃、強烈に射し込む逆光で湖面のキラキラを背景に柔らかな風に舞う柳、茶色で長い毛並みが綺麗に手入れされたありくいのような大型犬を連れているモジモジくんのような全身ぴちびち黒タイツ姿に上下ピンクのランニングウェアー、ピンクのナイキのスニーカー、黒いどデカいサングラスに顔全体をグレーのサンバイザーで覆った別世界の生命体のような30代位とおもわれるマダム風な女性をデジタル1眼レフにライカのズミクロン50mmという銘玉の組合せで咄嗟に撮った。

そのなんとも言えない風景を横位置で数枚ほんの一瞬を撮った瞬間に心のどこかにあったモヤモヤがすーーっと引いて丸い黒い穴が出現した気がした。
イメージ的には宇宙空間でブラックホールがその周りの星々を一瞬で吸い込んで完全な真っ黒い世界になった感じ。

そうだ。

自分の居場所はファインダーの中かもしれない。

だけどそのファインダーの中で広がる世界に自分自身は存在しない。

てかあの犬デカくね?てかあの女怪しくね?てかなんでモジモジくんみたいな格好?てか逆光綺麗じゃね?てかボケ足丸くピカらせたくね?てか柳の木の揺れ方優雅じゃね?てか空真っ青じゃね?てかズミクロン明るくね?てか今日は気持ちよくね?てかちょっとピントずらしてみる?

ファインダー越しに見る一瞬の世界が自分の居場所かもしれない。
まちがいない。ファインダーの中が自分の居場所だ。