何度か通院している患者さんが来院。
治療所を入ってきた瞬間、あ、今日は違うな、と直感。
顔色が違う。 日焼けに失敗した時のような、暗いトーン。
「今日は特にしんどかったですか?」と聞くと、
「そうなんですよ~~~今日はダメです!
もうストレスがぁぁ~~」
しんどいと一口に言っても、色んな意味がある。
体を使いすぎてしんどいのか、
体を動かさずにいるからしんどいのか、
精神的に弱っていてしんどいのか、
精神的に高ぶっていてしんどいのか。
そこで、話をしながら、体を触って確かめていく。
これは、ストレスたまりまくりのパンパン状態。
そういう時って、大体脈がキンキンになっている。
専門用語で「弦脈」といい、
例えるなら、チューニングしたてのギターの弦のようだ。
比べて健康な人の脈は、風に吹かれた柳の枝のように、
しなやかで柔らかい。
「イライラしてましたか~?」
「はい、もう…そりゃあもう…」
「ははぁ~。壊れたテープレコーダーみたいに、
頭の中同じ事がグルグル回ってる状態ですか?」
「ああっそうっ!!ぐるっぐる!!」
これはちょっと強めのツボで、張り詰めた気を抜いてあげよう。
頭に昇った気を抜く働きの『百会』、精神を落ち着ける『心兪』、
欝滞した気を巡らせる『内関』、気血を補い巡りを良くする『太衝』、
これらのツボに細い鍼を2ミリほど刺す。
うつ伏せと仰向けで計4本、10分ずつ置く。
20分後、鍼を抜きながら、
「テープレコーダー止まりました?」
と聞くと、
「ハイ、止まりました!眠くて、何も考えられなくなっちゃって…」
脈を診ると、最初よりはいいけど、
やや弦が残っていて、もう少し整ってほしい感じ。
そこで仕上げに、お臍の下にある、元気の源『関元』に、
鍼を15秒程刺さずにそっと触れておく。
そして脈を診ると、
硬いギターの弦が、おもちゃのウクレレの弦並みの柔らかさに、
いやもっとふわふわの良い脈になってくれた。
「ああー来て良かった。もうバッチリですよ」
と、患者さんは上機嫌で帰っていった。
うおーーー!!効き過ぎです!!!!
ビックリです!!
皆が皆、こんな効き方をする訳ではなくて、
この患者さんは、とても敏感な体質。
繊細な鍼で、いつもよく効くんだけど、 それにしても今回はすごかった!!
自画自賛なんかじゃなくて、
鍼がすごい!東洋医学がすごい!
人間の身体がすごいんです!!
何で髪の毛ほどの鍼を5本ぽっち、2ミリ刺しとくだけで、
スッキリするんだって話ですよ!
いや、そうなる仕組みは勉強して知っているけど、
目の前で見せられるとやっぱり感動します。
目の前の患者さんを治す、それだけの事だけど、
すごい仕事をさせてもらってるんだなー。
患者さんが鍼に感動してくれた時は、
それ以上に私が感動させられている。
これからもこうしてずっと感動して生きていきたい。
鍼灸による身体の変化は、とっても不思議で面白くて、
自分の身体が好きになります。
未経験の方は、一度、受けてみて下さいね。お待ちしています(*^_^*)