Ykiki Beat「When the World is Wide」 | Rotten Apple

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[Japan,IndieRock]

01.The Running
02.Modern Lies
03.Never Let You Go
04.Dances
05.Forever
06.All The Words To Say
07.Winter
08.Vogues of Vision


Ykiki Beat (ワイキキビート) の「Forever」が2014年のアンセムだということに異論がある人は少ないだろう。素晴らしい曲がインターネット上に落とされ、SNSで拡散してアンセムとなり、いずれは大型フェスやスタジアムクラスの会場でこの曲を聞く未来をも想像させた。
しかし昨年6月に公開 (7インチは9月) されたこの曲が一人歩きしすぎたため、期待されつつもあまりに遅すぎるアルバムは不安を煽るには十分だった。Ykiki Beatの遅すぎた1stアルバム「When the World is Wide」はその不安が杞憂だったこと、期待させた未来が夢物語ではないことを証明する一枚だ。

"創造的意欲の高いインディペンデントな音楽と、大衆的なインパクトを持つポピュラーミュージックの中間点" を目指したサウンドは、彼らが影響を公言しているFoster The PeoplePassion Pitのようなインディポップ/シンセポップで括ることは出来るだろう。確かに「Forever」はトロピカルなインディポップだし、「Dances」はダンサブルなシンセポップだ。
しかしアルバム全体ではそれだけではなくUKロック/ポストパンク要素をも強く感じさせる。ブリティッシュくさい歌声、シンプルなサウンドに普遍的なメロディ。この派手さのないサウンドを一枚通して聞けば、彼らがトレンドやシーンで括られるサウンドをやっている訳ではなく、よりエバーグリーンなアルバムを作りたかったのだろうということがわかる。

しかしこのアルバムを2015年の名盤だと語り始めるのも、次世代のシーンを担うバンドだと騒ぎ立てるのも違和感がある。こうやって外野があーだーこーだ言っているのを尻目に、世代もシーンも日本も背負わず彼らは世界に目を向けている。このアルバムを聞いて、GlastonburyやCoachellaに出たいという彼らの言葉を、ただの夢物語だと切り捨てられる人がどれくらいいるだろう。そしてそれもそう遠くはないと感じたのは少なくないはずだ。