[Japan,HyperPop]
01.LISTEN TO THE MUSIC
02.summer time
03.day trip
04.oyasumi
05.baby i love you
06.dance floor
07.LISTEN TO THE MUSIC (DJ WILDPARTY remix)
ポップという言葉が肯定的な意味で使われるようになったのはいつ頃からだったのだろう。数年前までは少なくともロックやヒップホップにおいてポップという言葉は否定的な意味で使われ、テクニカルで実験的なサウンドこそ評価されるという風潮があった。
それが少し揺らいだように感じたのはtofubeats「水星」リリース時。瞬く間にiTunesチャート1位を記録という突然の出来事に多くの称賛と戸惑いが混在していた。しかしそのポップなサウンドはヒップホップシーンを軽々と超えて広がり、彼は間違いなく国内音楽シーンの流れを変えてしまった。
彼がいなければSeihoやOkadadaといった才能が埋もれていたままだっただろうし、ネットレーベルや楽曲派アイドルといったものが一般層に浸透しなかったように思える。シティポップ/渋谷系、そしてJPop再評価の流れを作り出したのも彼だろう(水星はKOJI1200をサンプリングしていることでも有名)。そしていつの間にかポップという言葉は"最高"を意味するようになった。時代はポップを求めている。90年代の懐かしさを感じさせつつ嫌なことは全て忘れてパーティー出来るようなポップな音を求めている。
藤井隆をフィーチャーしたことでも話題を呼んだ「ディスコの神様」はここ数年のトレンドであるディスコサウンドとJPopがオーバーグラウンドで邂逅したある種到達点だったように思う。同曲にはゲストボーカルとしてFor Tracy Hydeのラブリーサマーちゃん、そしてShiggy Jr.の池田智子が招かれていた。彼がフックアップというヒップホップ的な意味合いでゲストに呼んだのかはわからないが、恐らくこういうことだろう。
次はお前達の番だよと。そしてShiggy Jr.の登場は昨年のtofubeats「lost decade」リリース時を彷彿とさせるような歓迎っぷりを感じる。まさに彼女達こそ今時代が求めているバンドだ。
前置きで力使い果たしたんだけど、中身に触れない訳にはいかないのでもう少し頑張ります。
Shiggy Jr.はJPop、ダンスロック、ジャズなどの様々なジャンルを吸収した楽曲と、確かな演奏スキル(ドラムの諸石はメタルコアバンドINFECTIONとしても活動している)を持ってその全てをポップに振り切らせている。そして池田智子のハイトーンボイスとキュートさがそれを倍増させるまさにポップでポップなバンド。
彼女達の言いたいことをシンプルに詰めた「LISTEN TO THE MUSIC」、前作の「サンキュー」を髣髴とさせるジャジーなメロウチューン「baby i love you」。「day trip」のアウトすれすれ感や「oyasumi」のハイパーエレクトロポップっぷり、R&Bが入ってきたばかりの頃のJPopらしさを感じる「dance floor」には彼女達の引き出しの多さにただ驚かされる。
ボーナストラック的なDJ WILDPARTYによる「LISTEN TO THE MUSIC (DJ WILDPARTY remix)」に違和感がないのは、恐らくShiggy Jr.を聞く層とクラブで踊り、Jersey Clubなどの最新トレンドを漁る音楽好き層が被っているからだろうなと。
このポップ至上主義の大きな波はいつまで続くのだろう。"このままずっと楽しい時間が終わらないように"と願っている限りは続いていくのかもしれない。
何はともあれ次はShiggy Jr.の番だ。しかし移り変わりの早い最近のトレンドのように消化されてしまっては困る。何故なら彼女達にはこの大きな波が消えてしまう前に「Saturday Night to Sunday Morning」を超えるアンセムを作ってもらわなくてはならないのだから。