朝井リョウ「桐島、部活やめるってよ」 | Rotten Apple

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-あらすじ-
田舎の県立高校。バレー部の頼れるキャプテン・桐島が、理由も告げずに突然部活をやめた。そこから、周囲の高校生たちの学校生活に小さな波紋が広がっていく。
バレー部の補欠・風助、ブラスバンド部・亜矢、映画部・涼也、ソフト部・実果、野球部ユーレイ部員・宏樹。部活も校内での立場も全く違う5人それぞれに起こった変化とは…?



2012年に実写映画化され特殊な構成から話題を呼んだ映画の原作です。今さら感あるんですけど先日読んだ「何者」がおもしろかったので読んでみたらこれもなかなかでした。

タイトルに騙されますが桐島君は一度も出てきませんでしたびっくり。桐島君がバレー部を辞めたことによって周囲に波紋が起きるっていうバタフライエフェクト的なやつなんですけど、そんなに大きな波紋でもなく別に桐島君部活辞めても辞めなくてもストーリーの大筋にあんまり関係ないんじゃ…?感ありました(風助以外)。

しかしそれは置いといても朝井リョウは本当に若者の心理描写がうまい。クラス内のヒエラルキー描写やチャットモンチーやRADWIMPSにジョゼと虎と魚たちなんて具体的な名前を出すところもニクいですね。
こういった小説ではヒエラルキー下位にいる人物の描写が多いものなんですが、上位にいる人物の上位なりの苦悩を描いているのも新鮮でした。これは作者が上位にいたからなのか、SNS上で蔓延る下位から上位への妬みに対するカウンターなのかってところも気になりますね。


朝井リョウの小説は既存の日常系小説とは少し色が異なり薄く感じる面もありますが、年齢がやや近い自分としてはリアルに近く共感出来るため楽しく読めています。
今の若者こそ読んでおもしろい作風だと思うのでぜひ。