〜第四話 真実〜
「あの‥はじめまして。山下さんのブログを見ました」
アメブロに届いたそのメッセージに、僕はお礼を書いていた。そして恐らく、この人もホワイトナイツに来ようかどうか、考えているのかもしれないと漠然と予想していた。
更新が少なくなったこの頃になっても、まだブログを通じてギルドに応募してくれる人が何名か存在した。ブログ自体がホワイトナイツの宣伝も兼ねている為、それを読んだ読者さんがギルドに興味を持ってくれるのだ。
僕はその人たちに、自分があまりイン出来ていない事、もしかしたら手厚い歓待はできないかもしれない事を伝える。返事は一様に「それでも大丈夫です」だったが、入隊した人達が続くことは無かった。ブログ経由でやってきて、唯一続けてくれているのは、ぴよさんくらいのものだろう。
一番申し訳なかったのは、僕のインが少なくなる直前にホワイトナイツに来てくれた人達だ。突然僕がインしなくなり、困らせてしまった事と思う。かりーんさんや、はるさんには、数年経った今でも心からお詫びしたい。
「あの、あまりアメブロの使い方がわからなくて…イルーナのほうでお話をしたいのですが、お願いしてもいいでしょうか??」
聞けば、新しくキャラを作ったばかりだと言う。サブキャラなのだろうか。しかし、話の様子から察するに、アメブロだけでなく、なんだかイルーナにも不慣れな様子である。新しくイルーナを始めようということなのだろうか。
キャラを作った状態でスタート位置にいると言うので、時間をあわせてバイルーンで落ち合うことにする。
今回も、入隊する前に僕自身があまり活動できていない事をお伝えしなければならないだろう。そう思いながら、バイルーンでその人を待った。やってきたその人は、まだ冒険者のままだ。
まずは転職について、アドバイスしたほうが良いかもしれないという考えが頭をよぎる。
「あの、ありがとうございます」
白茶で話し始めたその人を慌てて制し、パテ茶の方法を伝える。操作に関しては、完全にイルーナを開始したばかりの人のそれだった。
「ありがとうございます…ゲームには疎くて」
ゲームをしようという人間が、ゲームに疎いというのは、どういう事だろう。もしかしたら、イルーナで会いたいというのは建前で、宗教や怪しい団体の勧誘かもしれない。
実際、ブログで自分のことを書きすぎているせいか、そうした声かけも一度や二度はあった。言いくるめられる事は無いだろうが、僕は少しこの相手に対して警戒感を持った。
「早速お話で恐縮なのですが、ぴえろっろをご存知ですか?」
その人の口から意外な人の名前が出てきた事に驚いた。なんだ、人探しだったのか。僕は、知っているが最近会っていないと伝える。
知らないと嘘をついて、あとで発覚すると厄介だし、かといって知っているなら連絡先を聞かせてほしいと言われても困る。フレンドになっているので手紙を送ることは可能だが、何の要件か不明な相手に、できるだけその事は黙っていたかった。
僕の回答を聞いた相手が、また話し始めた。
「ぴえろっろは…」
あとに続くチャットを見て、僕の思考が止まる。
「ぴえろっろは、亡くなりました」
天の声「…」
山下「…」
天の声「…」
山下「…」
天の声「…(わかっとるわい)」
山下「…(たのみますね?)」
天の声「…(前回のサザエさんもどきの予告通りになってしもうた…なんか不本意じゃーっ!!)」
※最終話、やや長文となります。