歯磨きを終えて振り向こうとした私の肩を、
彼の腕がためらいなく抱き留めた。




正面を向かされ、視線がぶつかる。  
言葉より先に、深いキス。  
息を奪われるほど長く、何度も。  
そのたびに、喉の奥で小さな声がこぼれてしまう。




唇が離れたかと思えば、今度は首筋へ。  
うなじから鎖骨へ、点をつなぐみたいに落ちてくる口づけ。  
浴衣の結び目に触れる指先がほどける音が、やけに大きく響いた。  
布が肩からするりと滑り落ちる。  
夜風も届かない室内なのに、肌の上を何かが走るみたいに熱い。




「や、なんか……恥ずかしい」  



小さく漏らした声も、キスに飲み込まれる。  
胸元を包む掌、腰を引き寄せる力が強くなる。  
彼の呼吸が耳元に触れて、鼓動が重なっていくのがわかる。




私はもう、何もまとっていなかった。  
彼は惜しむみたいに急いで、  
床に落ちる気配だけを残して消えていく。  
隔てるものがなくなった瞬間、体温が一気に混ざり合う。




ベッドに押し倒される。  
ひんやりとしたシーツの感触が、熱を際立たせる。  
彼の手が私の輪郭をなぞるたび、体のどこかが勝手に震える。  
視線を外せない。  
名前を呼ぶ声が、耳の奥で反響する。




照明は落としていない。  
薄い影の中で、彼の表情がはっきり見えるのが 
余計に恥ずかしい。  
けれど視線を逸らしたくない。  
触れられるたびに呼吸が乱れて、
抑えようとしても声が零れてしまう。  
その反応に、彼の手つきが少しだけ大胆になる。  
肩、肋骨の曲線、腰のくびれ。  
指先で確かめるように辿られて、背中がふっと浮いた。




「…ここ、好きでしょ」  



耳元で囁かれ、抗いようもなく頷いてしまう。  
わかってる、みたいに笑う気配。  
次の瞬間、全身から力が抜けた。  
ベッドのきしむ音、シーツの擦れる音、自分の声。  
全部が一つに重なって、時間の輪郭が溶けていく。




手首を掬うみたいに取られて、頭の上へ。  
片方の手が私を支え、もう片方が
確かめるように触れてくる。  
深く、浅く、また深く。  
波みたいに寄せては返すたび、
呼吸の数が合わなくなる。  
「だめ…」なんて言葉は、
止めてほしい合図じゃないことを、  
彼はとうに知っている。

視線が絡む。  


「見て」  


かすれた声で言われて、そのまま目を逸らさない。  
熱が喉までせり上がって、名前を呼びそうになる。  
肩口に触れる彼の息が熱い。  
その熱に釣られて、体がさらに素直になってしまう。


――ここから、もう後戻りはできなかった。


本当は、この先をすべて残しておきたい。  
どんな言葉を交わして、どんなふうに求め合って、  
どの瞬間に理性がほどけていったのか。  
でもアメブロの規約では、ここまでが限界。  
だからこそ、**“夜の記録”の完全版**は、別の場所に丁寧に綴ることにしました。

続きは note にて。  
アメブロでは書けない会話や、抑えきれず零れた声、  
そして二人が同時にほどけていくまでの全部を、言葉にしました。


読み終えたあと、静かに目を閉じてもらえるように。  
あの夜の温度と息づかいを、そのまま置いてきます。