↑↑↑こちらの記事の続きです。
セックスレスの現実シリーズは、2020年に綴っていたものをさらに深く綴ったものになります。
携帯を近づけて、
無事にLINEを交換し終えたとき。
私の頭の中では、
「うわ〜LINE交換しちゃった……」
そんな声がこだましていた。
でも、そんな浮ついた気持ちとは裏腹に──
Oさんと目が合った瞬間、
世界が静かになったような気がした。
彼の顔は、どこか照れているようで、
でも目を逸らすことはなかった。
じっと、真っ直ぐに、
私のことを見つめてくる。
私は耐えきれずに、目を逸らしてしまう。
でも、また目が合って、
また、私が逸らしてしまって……。
恥ずかしい。
でも、幸せだった。
そのままの空気で、
Oさんは次の仕事へ向かおうとしていた。
ふと、視線を感じて顔を上げると、
Oさんが覗き込むようにこちらを見ていた。
──何か言いたそうな、
でも言えずにいるような表情。
私も見つめ返してしまった。
そのまま、また数秒の沈黙。
何も言わず、でも何かを伝え合ってるような
不思議な時間が流れていた。
Oさんは小さく、深呼吸。
そして、照れくさそうに笑った。
思わず私は聞いた。
「Oさん、今日はなんか……緊張してますか?」
すると彼は、
「はい。してます。
いや〜緊張しますよ……
してます、してます。するに決まってます」
そう、小さな声で答えた。
Oさんは私の方へ体を向けたけれど、
やっぱり何も言わないまま。
目で話す──そんな時間が続いた。
何度も見つめ合って、
Oさんの中にある葛藤が、
目を通して、こちらにも伝わってきた。
私は、
抱きしめたくなるような衝動を抑えていた。
この人に、何かを求めてしまったら終わる。
そうわかっていたから。
──Oさんには守るべきものがある。
──私は簡単に「好き」と伝えてはいけない。
だから、黙っていた。
だから、目を逸らした。
Oさんが大きく息を吸って、吐き出したそのとき──
再び目が合った。
その瞬間、私は思った。
もう、好きなんだ。
この気持ちは、隠していても隠しきれない。
