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彼との5年間シリーズ①にも書きましたが
彼の怒りには、いつも理由が見えなかった。
突然口数が減って、不機嫌になって──
でも「どうしたの?」と聞いても、
「別に」「なんでもない」と返ってくるだけ。
その“なんでもない”の裏側で、私は何度も責められ、
泣かされてきた。
今でも、その理由が分からないまま
彼が不機嫌になることがいくつもある。
たとえば、昨年の真夏のある日。
彼との1日デートの日。
その日は、都内に行って、美術館に行ってランチして
その後は籠る予定だった。
その日は、とにかく暑かった。
私たちは都内の街を歩きながら、
ランチを食べる場所を探していた。
でも、どこに行っても長蛇の列。
彼は「並ぶのが嫌い」な人だから、
だんだんと疲れとイライラが混じってきて、
無言の時間が増えていった。
そんなとき、たまたま一軒だけ、
すぐに入れそうなお店を見つけた。
「ここにしよう」と言って、ふたりで入った。
私はまったく不満なんてなかった。
むしろ、暑さから逃れてホッとしたし、
彼と一緒ならそれでよかった。
でもたぶん、彼の中では
「もっといいお店に入りたかった」っていう
納得のいかなさが残っていたのかもしれない。
食事を終えて少し歩いているうちに、
彼の機嫌も少しずつ戻ってきたけれど、
気づけば、次に予定していた
美術館の時間が迫っていて、
「もう今日はやめようか」ってことになった。
そのまま車に乗り込んで、
少し静かな時間が流れたあと──
彼がふいに「最近、家のことはどう?」
って聞いてきた。
私が子供のことで悩んでいることを知っていたからだ。
私は、少し迷ったあとで、正直に話し始めた。
なのに──話しているうちに彼の顔が
どんどん曇っていって、突然、不機嫌に。
そのまま口をきかなくなって、無言で運転して、
車の中が凍りついた空気になった。
「今日、籠るのやめよう、帰るわ」
そう言われた時、私は何が起きたのか分からなかった。
突然「帰って」と言われても、
私は家族には「夜に帰る」と伝えていたし、
今すぐ帰れる状況でもなかった。
「なんで怒ったの?」と聞いても、
彼はずっと無言のまま前だけを見つめていて──
私はただ「子どものことで、こんなことがあって…」
と悩みを打ち明けただけ。
なのに、彼は突然不機嫌になって黙り込み、
何も話してくれなくなった。
一体、何が起きたのか本当にわからなかった。
「なんで?行こうよ」って言っても、
「いや、もういいから」
「今日はそういう気分じゃない」
「何時まで付き合えばいいわけ?」
「ほんと人の気持ち考えないよね」
「今日はもう疲れてるんだって」
──まるで、私がすべてを台無しにしたかのような
言い方だった。 今一緒にいることが、
私のわがままかのような言い方。
私は、彼が聞いてきたから答えただけ。
しかもそれは今に始まった悩みじゃなくて、
これまで何度も、彼が寄り添ってくれていた話。
「最近どう?」と彼が聞いたから、
「うん、こんな感じで…」と正直に答えただけなのに、
彼は理由もなく不機嫌になって、
理不尽な言葉ばかりぶつけてきた。
たしかにあの日は暑かったし、疲れていたし、
ランチの場所も思うように決まらず、
イライラしていたのかもしれない。
──でも、だからって。
彼は、今までも同じようなことが何度かあった。
疲れていたり、思い通りにいかないことがあると、
その怒りを人にぶつけてしまう。
だから、今回もまた「始まったな…」と思ったけれど、
あまりにも理不尽すぎて、心が追いつかなかった。
声を荒らげながら車を走らせて、
「どうやったら降りてくれんの?」
「どうやったら帰ってくれるの?」
──そんな暴言まで飛び出して、
私はただ呆然とするしかなかった。
1時間近く、ただ無言で車を走らせたあと。
ようやくコンビニに車を停めて、
私が一生懸命に話して、
ようやく彼は少し落ち着いてくれたけれど……。
──正直、いまだに何が起きたのか、わからない。
1年経った今でも、あの日の彼の怒りの理由は
理解できないまま。
あんなに優しかったのに。
あんなに笑ってくれてたのに。
彼のそういった豹変ぶりは
まるで何かを踏みにじるような重さで、
私の心に突き刺さる。
私は毎回必死で「ごめんね」と言う。
でも何を謝っているのか、自分でも分からなかった。
怒り出すと止まらない。
一方的に突き放されて、理不尽に傷ついて──
