私たちが付き合い始めたのは、ちょうど5年前。
出会ったばかりの頃の彼は、
優しくて、私の話をよく聞いてくれて、
「こんなに心が通じる人がいるんだ」と
思わせてくれる存在だった。
でも、付き合って最初の1年は決して
穏やかじゃなかった。
今でも忘れられない出来事がある。
初めて彼とホテルに行ってそういう関係になった日、
彼は緊張のあまり途中で中折れしてしまった。
私は「そんなこと気にしなくていいよ」
という気持ちで接して、
何事もなかったように振る舞っていたのに、
その日を境に彼からの連絡が突然途絶えた。
二日間、ぴったりと連絡が来なくなり、
メールも無視された。
後で聞くと、彼は自信をなくしていたという。
でも、私にとってはたった一度のことで、
それよりも理由もわからないまま
避けられたことの方が、ずっと心に刺さった。
それだけじゃなかった。
付き合って4ヶ月半ほど経った頃、
クリスマス前に彼から
「クリスマスプレゼントはなしだからね。
俺にも用意しないで」って言われた。
私はもう用意してしまっていた。
当日、彼は素敵な有名ホテルの部屋を
取ってくれていて、 嬉しかったけれど、
またその夜も途中で彼は自信をなくし、
そこから突然、私を傷つけるような
言葉を投げかけはじめあ。
「俺がいなくなったらどうするの?」
「俺に依存してるんじゃない?」
「重いんだけど。」
──本当に意味がわからなかった。
彼がなぜ、そんな言葉を私にぶつけてくるのか。
そのときの記事は、当時の痛みを
そのまま綴っています。
それでも私が離れられなかった理由。
それは普段の彼が本当に優しかったから。
一緒にいる時間は心地よかったし、
長年、夫にほっておかれてきた私にとって、
彼の存在はかけがえのない救いだった。
依存と言われれば、確かにそうだったかもしれない。
でも、当時の私には離れられないと
思わせるだけの温かさがあった。
そして、今だからわかることがある。
当時、彼の家庭では2人の子供たちが
反抗期の真っ最中だった。
奥さんと子供達の間では
暴言や激しい言い争いが絶えず、
彼が帰宅すれば大喧嘩、
時には殴り合いのような事態にまで発展していた。
彼は仕事でも家庭でも心が擦り切れ、
私の前では精一杯強がり、
でも心は余裕を失っていたのだ。
それを知ったのは、もっと後のこと。
最初の1年目。
私は彼のことを全然わかっていなかったし、
彼もまた、自分の弱さを私に
打ち明けることができなかった。
今の彼からは想像もできない。
でも基本弱い彼なので
この先なにがあるかわからない。。
でも、あの時間を乗り越えたからこそ、
今の私たちがあるんだと思う。
