夜、私の家の近くまで戻ってきたけれど、
いつもと同じように、すぐには帰らなかった。
決まって立ち寄る、ふたりだけの“帰る前の場所”。
ここでいつもその日の話をしたり、
たまには車内でご飯食べたり、
私たちにとっては車内は、
2人だけの大切な空間でもある
その車を止めた場所で、
エンジンを止めると、あたりはしんと静かで、
街灯の明かりがフロントガラスをぼんやり照らしてる。
彼は何も言わずに、シートベルトを外して、
私の手をそっと握ってきた。
「あっち、行こうか」
目で合図するようにして、彼が後部座席を指す。
いつもより少しだけゆっくりと、その場所へ移動する。
後ろの空間にふたり。
緊張と期待が混じったような空気が、
静かに流れ始めた。
私の髪を後ろからそっと払って、
首筋にふれる彼の唇──
そのやわらかさと熱に、少しだけ肩がふるえる。
「……こうしてると落ち着くんだよね」
彼がそう呟きながら、片腕で私の体を引き寄せる。
軽く抱きしめられたまま、私たちは向き合った。
彼の指が私の頬をなぞる。
そのまま首元から、鎖骨、肩へ。
ゆっくり、丁寧に、指先が動くたびに
じんわりと体が熱を帯びていくのがわかる。
胸のあたりに手が触れたとき、
私は一瞬息を止めた。
「……大丈夫?」
小さな声でそう聞かれて、私はうなずいた。
トップスの下から手をいれ
乱暴じゃないけど、どこか急いでいるような、
抑えきれないような手つき。
私も彼のシャツにそっと手をかけて、
指先で胸元に触れた。
熱い…彼の体温が指先から流れ込んでくる。
ブラの上から、彼の指がゆっくりと
円を描くように動き、
そのたびに息が詰まる。
ふと力が抜けて、背中がシートに預けられる。
胸に口づけられた瞬間、
小さな声が漏れてしまいそうになって
口に手をあてて我慢してたら、彼が小さく笑って、
「声、出しちゃっていいよ」って、耳元でささやいた。
その声が、甘くて低くて、
体の奥まで響いてくる。
スカートの中へ、彼の手が伸びて
下着の上から、ゆっくりと、そっとなぞる。
薄い布越しでも、その感触だけで奥が反応してしまう。
体の内側から熱がじわっと広がって、
脚の内側に力が入らなくなる。
下着の隙間から、指が入り込んでくると
濡れてしまっていたのを悟られたくなくて、
体を強ばらせたら、
彼が「…もうこんなに?」って、
少し驚いたように微笑んだ。いじわるだな〜
指が、その奥を探るようにゆっくりと動き出す。
最初は慎重に、でも徐々に深く、速く。
自分でも抑えきれない吐息が漏れて、
シートに背を預けたまま、彼の肩にしがみついた。
彼がそっと私の脚を開かせて、
体を沈めるように重なってきたとき、
私も自然とその動きに応じていた。
お互いの肌がぶつかり合って、
熱が混ざって、リズムが生まれていく。
細かく揺れる車の中で、
私は声を押し殺しながら、
何度も彼の名前を心の中で呼んだ。
そのとき交わした言葉も、
どこに手が触れたかも、ちゃんと覚えてる。
けれどそれ以上に、
あのとき感じた「心まで触れられた」ような感覚が、
今も、体に残ってるのは間違いない。
