バスターのバラード
コーエン兄弟の西部劇オムニバス6話。
正直いうと「バートン・フィンク 」「バーバー」は好きだが、それ以外のコーエン兄弟の作品にピンとこない。
ただ、どの作品も面白くないわけではない。
ハマる人にはハマるのだと思う。
僕は正直、「ファーゴ」や「未来は今」もあまり評価していない。
なので、彼らの作品の評価は厳しくなるので、あまり当てにしないで欲しい。
1話バスターのバラード
意外性の連続なのに、最後だけアレッて感じになってしまう。
脚本以外で役者の演技で笑えたのは、この1本目のみだろう。
早撃ちの意味を少し取り違えたような陽気なバスターをティム・ブレイク・ネルソンが演じる。彼はNetFlixのドラマによく出て来るが、今回は歌う間抜けなカウボーイを演じきっていた。
2話アルゴドネス付近
ハードボイルド系の銀行強盗が失敗し、絞死刑になる寸前でインディアンが襲って・・・みたいな話だが、これもオチが笑えるようで笑えない。
3話食事券
日本なら間違いなく、物議を醸し出しそうな興行師の話。
なんと主役演じるのは、リーアム・ニーソンだが、それが故に、重くのしかかる過酷さが、笑えるどころか、悲しくなる一本。
4話金の谷
バスターのバラード以外では唯一、陽気な主人公が出て来る。
ほぼ、たった2人だけで描く話だが、オチらしいオチもない気がする。
むしろ、これ大丈夫という感じだが、一応、唯一のハッピーエンド?
5話早とちりの娘
一つ間違えれば、良い話になるのに、わざわざダークなオチを用意している。
しかも、計算されたコーエン兄弟のオチに、何故だか胸くそが悪くなる。
ゾーイ・カザンの演技が的を得ていたのと、名脇役グレインジャー・ハインズ
の見事な演技がラストで主人公を乗っといてしまう。
6話遺骸
オチは直ぐに分かってしまうが、それもコーエン兄弟の計算の内で、ほとんどが台詞劇。
「ダーティハリー3」「女刑事キャグニー&レイシー 」のタイン・デイリーの姿が観れた事が何より嬉しい。
所々にアメリカ西部開拓時代の女性差別を明確に入れて来るが、今回はもう少しだけ後の話になったと感じる。
つまり、全体が西部開拓時代の歴史になっているようだ。
全体的に映像はびっくりするほど綺麗で、自然の美しさがストーリーの物悲しさと比較されているようで、全く笑えない。
むしろ、ブラック・ユーモアと考えるより、西部開拓の実像という風に考えてしまう。
テンポも決して早くないので、コア・ファン向きだといえる。
ただ、一度見たら最後まで見てしまう事は請けあう。
何故なら、それがコーエン兄弟だからだ。