今日の東京は5年ぶりの積雪だそうですね。
京都在住当時でもこんな雪経験したことないので驚いてます。
ところで、今日は前日に引き続き上場廃止について取り上げ
たいと思います。中でも後半はライブドア騒動で騒がれている
「虚偽記載」で上場廃止になってしまったノース(株)に焦点を
当てていきます。
・2005年の東証上場廃止銘柄
銘柄数・・・54 (1部・・・34銘柄、2部・・・17銘柄、マザーズ・・・3銘柄)
(内訳)
完全子会社化・・・36
合併・・・6
申請・・・3(いずれも外国会社)
小数特定者持ち株比率90%越え・・・3(うち1銘柄は完全子会社化)
虚偽記載・・・2
営業停止・・・2
公益投資家保護・・・2
有価証券報告書届出遅延・・・1
上場廃止理由は経営状況の悪化ではなく、M&Aによるものが
大半ですね。完全子会社化する目的は、一体運営し事業の再編、
効率化を図るというのが通例。ちなみに「完全子会社化」による上
場廃止は、前日記載の「上場廃止
」の記事で言えば、「その他」の
廃止基準に分類される。「小数特定者持ち株比率90%越え」とは
また別の基準によるものなんですね。
「完全子会社化」は「株式上場廃止基準
」の2条(15)
「小数特定者持ち株比率90%越え」は同基準の2条(2)a(b)
そして注目は、今回のライブドア上場廃止騒動でも話題になっている
「虚偽記載」の2銘柄。
※「虚偽記載」については、以下の【補足】で説明
1つは記憶に新しい「カネボウ」、「中央青山」事件です。
もう1つは、「ノース 」というマザーズ上場の企業でした。
そのノースについて以下に記します。
・ノース(株)
上場廃止のケース
1990年 設立 (85年にソニーを退社した飯島朝雄社長が創業)
半導体パッケージビジネスに参入
2002年12月・・・東証マザーズ上場
2005年9月22日・・・ノースが2004年3月中間期に計上した台湾企業
向けの売上高3.1億円を発生時に遡って取り消す
と発表
理由は2004年3月30日に交わした上記台湾企業
との契約を、2005年8月に解除したためだと言う
(9/22ノース発表
)
これにより2004年3月中間期の単独売上高は
3.1億円減の9400万円。最終赤字は3.05億円増加、
7.23億円になる
売上の大半が消えてしまったわけだ
この発表によって同社は東証から・・・
2005年9月22日(同日)・・・ 監理ポストに割り当てられる
(9/22東証発表
) (9/23ノース発表
)
2005年10月15日・・・上場廃止決定、整理ポストに割り当てられる
(10/14東証発表
)(10/14ノース発表
)
2005年11月15日・・・上場廃止執行
(11/9ノース発表
)
理由・・・2004年3月期の決算の有価証券報告書に、本来売上に
計上すべきでない取引が計上され、「虚偽記載」にあたると判断さ
れたため。
株価の推移・・・15万円台を推移していたが管理ポスト割り当て発表
後急落。
(9/21・・・15.4万、22日・・・12.4万、26日・・・10.4万、27日・・・8.4万、
28日・・・7.4万、29日・・・6.4万、30日・・・5.9万、、10/14・・・3.61万)
なぜノースは虚偽記載をしてしまったのか?
ノースは優れた半導体実装技術をもっていたようだ。同社のコア技術
は発明大賞(池田特別賞)を受賞したり、米国特許を取得していた。
それ故、上場後、約半年間までは株価も高水準で推移していたものの、
その後、四半期ごとの決算数字が芳しくないため株価は下落し続けた。
技術がなかなか収益に結びつかなかったようだ。マーケットもまだ収益
向上には時間がかかると判断したため、株価は下落してしまった。
ベンチャーキャピタルの村口和孝氏のコメントを参照
そこで下落していく株価を止めようと2004年9月とうとう、決算の虚偽
記載に及んでしまったのだろうか。
株価というのは、企業が経営を行っていく上でとても大切なものなのだ
と実感した。企業は研究水準が高いだけではダメで、利益を生まなけ
ればいけない。シビアですね。でも先日「日経アソシエ
2006/2/7
」でも
書いたが、当然法を犯してはいけない。
でもまたこの企業には、強みの技術力にさらに磨きをかけて復活して
欲しいと思う。
何が問題だったのか?
ノースは取引相手である台湾企業へ自社商品(技術)を売る(移転する)
という契約を交わした。しかし契約の覚書に「貸付を行うこと及び当該
貸付が行われなかった場合には技術移転契約を遡及的に解除する」
と記載されていたのだ。ここが問題だった。
損益計算書に売上計上してよいものは、「企業会計原則
、損益計算
書原則 三B」にて、原則「商品等の販売又は役務の給付によって実
現したものに限る」となっています。(実現主義の原則)
(費用は発生主義、収益は実現主義)
ということは、上記の契約は解除されうると記されている以上、売上が実
現しているとは言えず、売上計上してはいけない事になります。
にもかかわらず、この取引を売上としてPL計上してしまったことが
「虚偽記載」に当たってしまったと言うわけです。
ちなみにこの監査を行った監査法人は、新日本監査法人。
中央青山じゃなかったんですね。
さてノースの銘柄が東証から消えてしまったのは、2005/9/22管理
ポストに当てられてから約2ヵ月後の2005/11/15でした。
ライブドアの株は一体どうなるのでしょうか?昨日1/20に本日1/21
日付けで「開示注意銘柄」に割り当てられると発表
されております。
即管理ポストには入らなかったみたいですが、管理ポスト→整理
ポスト→上場廃止となってしまうのでしょうか?まだまだ予断ならぬ
ところです。
【補足】
・虚偽記載
証券取引法
第二章「企業内容等の開示」以下で定められている
「虚偽記載」の規定は、違反企業の投資家への損害賠償規定で
あって上場廃止などを規定したものではありません。
虚偽記載による上場廃止の話はあくまで、東証の内部規定であり
東証1、2部に関しては東証の「株式上場廃止基準
」の第2条(11)
に規定されています。マザーズは第2条の2(5)。
また有価証券報告書等に虚偽記載があれば直ちに上場廃止になる
というわけではなく、虚偽記載による「影響が重大であると取引所が
認めた場合」に初めて上場廃止が決定します。
ライブドアも粉飾決算により有報に虚偽記載があったとされています
が、影響が大きいと取引所が認めるかどうかが上場廃止になるかど
うかのカギになってきます。
ノースの場合は売上の63%が虚偽記載であり、東証は影響が大きい
と判断しました。一方ライブドアの2004年9月期の決算は複数の関連
会社の利益など計24億円を自社の利益に仮装し、約10億円の赤字を
約14億円の黒字と粉飾 したのではないか と言われています。
計算す れば171%の虚偽記載です。
単純に額だけで考えれば、ノースの3倍近くの粉飾をしていたわけです
から、影響が小さいとは言えないでしょう。
ただでさえ、東証はシステム面で問題があると騒がせているのに、ここ
で説得的な説明無くライブドアを上場廃止にしないと決定すれば、ダブ
ルスタンダードだとさらに批判されても仕方ないだろうと思います。