・新型住宅ローン (住宅ローンの証券化)
けろたんさんからいただいたコメント
をきっかけに、銀行の住宅ローン金
利の仕組みについての情報を収集&整理してみました。
お題は、『2%台で長期固定金利で住宅ローンを出しまくりな銀行の金利
リスク保全体制は一体どうなってるのか?』です。
『住宅ローン金利一覧
』を見ると、20年住宅ローン固定金利は、4.95%と
なっています。(三菱東京UFJ銀行、2006年2月1日現在) しかし、「フラッ
ト35」という最長35年固定金利は、2.81%と逆転しています。これは一体
どういうことなのでしょうか?
この「2%台」の長期固定金利住宅ローンが今回のテーマです。
この「フラット35
」とは、民間金融機関(銀行等)と住宅金融公庫が提携し
てつくった新型住宅ローン商品で、他の住宅ローン商品とは仕組みが大
きく異なります。2003年10月からスタートしました。(AllAbout
)
低金利な住宅金融公庫による直接融資制度が2006年度に廃止される
予定なのでそれにかわるものとしての位置づけなのでしょうか。
(読売マネー
)
■新型住宅ローンの仕組みに入る前にまず、銀行の仕組みについて、
少し触れておきたいと思います。
銀行は(運用金利)-(調達金利)で利ざやを稼いでいます。(金融庁
)
※運用金利・・・企業等への貸出金利 (住宅ローン金利もこれ)
※調達金利・・・預金者への預金金利
なので上のケースだと運用金利が35年間も2.5%で固定されるわけで、
調達金利が2.5%を上回ると、銀行の収支はマイナス(逆ザヤ)になるわ
けです。近いうちに量的緩和が解除されるという見通しもあるわけだし、
これから35年の間、調達金利が2.5%を超えることは十分予想できます。
■では、なぜこのような住宅ローン商品が成り立つのでしょうか?
結論から言うと、銀行はこの新型住宅ローン債権を住宅金融公庫に譲渡
することで、金利リスクを切り離しているのです。つまり、調達金利が2.5
%を超える時代が来ても、銀行の収支はマイナスにはならず、逆ザヤに
なる心配はありません。
■では、その仕組はどうなっているのでしょう?
住宅金融公庫
のHPを見てみてください。仕組みには買取型と保障型の
二つがありますが、買取型
を見ていきます。
①銀行は住宅ローン債権を住宅金融公庫に売り渡しその債権を現金化
します。②次にその債権を証券化します。その証券をMBS(モーゲージ
証券)を機関投資家(生保等)に売却します。銀行の資金の出元は生保
マネーということになって個人の保険料となるのかな。
つまり住宅ローンは証券化を通じて、リスク分散され金利リスクについ
ては機関投資家が負うことになります。じゃあまた生保が逆ザヤになる
のか?ということになりますが、単純にそうだとはいえなさそうです。
理由は、生保は負債(死亡保障や年金は契約が長期間)の特性に合わ
せて長期運用を前提としており、資産(受取利息)も長期一定の方が好
ましいのです。実際生保の運用の中で長期国債のウェイトは高いです。
しかもMBSは国債並みの信用力があり、利回りが同年物の国債より高
いということで、生保にとってもメリットがあるわけです。
銀行の場合は企業融資で運用することがメインになるわけだから、比
較的負債は短期であり、資産もそれにあわせて短期であることが望ま
しい。主に金利リスクを配慮して。調達金利、運用金利は比較的短期
で変化しますから。
このような資産と負債の特性に配慮した総合的管理のことを
ALM
という
(参考)・・・WebVision
、ALMについて
、住宅金融公庫
、金融大学
非常に長文となってしまいましたが、読んでいただき有難うございました。
改めて結論を一言で言うと、『銀行は長期固定住宅ローン債権を証券化
することで金利リスクを切り離(リスクマネジメント)している』となります。
不適切な点等ございましたら、コメントにてご指摘頂けたら幸いです。
【補足】
・債権の流動化
金融機関が持っている債権を、第三者に譲渡する事。債権は企業向け
貸出債権、リース・クレジット債権、自動車・住宅ローンなどで、それら
を機関投資家などに売却し、資本金に組み入れる事で銀行の資産面
からの自己資本比率対策として使われている。
・モーゲージバンク
これまで銀行と住宅金融公庫をベースに話を進めてきましたが、新型
住宅ローン商品を扱うのは、銀行だけではなくモーゲージバンクと呼ば
れるノンバンクもあります。銀行より金利が割安に設定されています。
(参考)・・・SBI
、マイホーム講座
・アメリカの住宅ローン証券化
アメリカでは住宅ローンの証券化がもっと活発です。日本はそれにな
らった形だといえます。日本の住宅金融公庫にあたるものとして、ジニ
ーメイ、ファニーメイ、フレディマックがあります。米MBSは米国債と同
じレベルの信用力がある上、利回りが米国債以上得られるので、日本
の機関投資家も積極的に購入しているようです。ただし期限前償還リ
スクは伴います。
(参考)・・・MBSとは
、アクサ生命
、生保と資産運用⑤
、
生保と資産運用⑥