論 理 力 と  説 得 力 は 結 び つ く ? | What is Classic?

What is Classic?

音楽和 耳を澄ませた時に 聴こえてくる それぞれの 言葉


PRIDE No.2*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆





いつでも ぼくたちが


ある問題への 解答を見いだしたと 思うとき


ぼくたちの誰かが、 壁にかかった


古い中国の画軸をひもといた。 その絵絹の上では


床几に坐した男が


疑いに疑っていた。




おれは、 とその男は ぼくたちにいう

疑う者だ。 おれは疑う

君たちが幾日もつぶした仕事は  成功しているか、 どうかを。

君たちの言葉は、 へたくそに言われても、 なお誰かに役立つか。

とはいえ、 へたくそではないか、 たとえば

真実だということに もたれすぎてはいないか?

多義的ではないか、 もし間違って理解されたら

責任は君たちにある。 だが一義的で

実物から矛盾を遠ざけてもいけないが、 一義的すぎないか?

そうなると使いものにならぬ。 死物になる。

君たちは歴史の中にあるか? 何がこようと

了解するか? 未来をもつか、 君たちは? いま 何ものか?

誰に語りかけているか? その言葉は 誰を利するか?

また それは 酔いをさますか? 朝にも読めるか?

現状と結びついているか? まえに 語られた言葉を利用しているか、

少なくとも  反駁しているか? どの語にも典拠があるか

経験の典拠が? どんな経験の?

しかし 何よりも まず このことを繰り返して問おう、



君 た ち の 言 葉 を 聞 い て 信 用 す る 人 は

ど う 行 動 す る か




ぼくたちは熱心に、 絵絹の上の青衣の 


疑う人を見つめ 考え、


やがて 眼と眼を みかわして


また 第一歩からはじめた。




by ベルトルト ブレヒト