遺言のことをお伝えしていると次のような質問を受けることがあります。
「三人いる子供のうち一人だけに全財産を相続させたいのですが‥」
様々な事情で一人の子供にだけ財産を遺したいケースが時々見受けられます。
『遺言は法定相続に優先する』原則からすれば、民法で定められた相続分よりも、遺言の内容が尊重され、優先して実現されるはずです。
少し歴史をさかのぼります。
そもそも戦前は財産は「個人」ではなく「家」に属するものとされていました。
ところが戦後になり、現在の憲法のもと「個人」の財産権が保障されるようになります。
「個人」は生きている間は当然に、自由に財産を処分することができます。
そして民法は「個人」に生前のみならず、死後の財産処分をも自由にできるようにしたのです。
その手段が遺言です。
では「個人」の財産処分が自由だから、三人の子供のうち、一人だけに全財産を相続させるという遺言を書いたとしましょう。
残り二人の子供の立場に立ってみます。
亡くなった人の子供という同じ相続人の立場でありながら、遺言によって自分達は何も相続できなくなる。
これら二人の子供の生活が困窮していた場合はどうでしょう。
そもそも亡くなった人の財産については、二人の子供には潜在的に所有権があると言えないでしょうか。
このように①「個人」の財産処分の自由と、②他の相続人の不利益、の対立が見られる場合があります。
この①と②のバランスを取るために生まれた制度が「遺留分」です。
遺留分とは「相続人が最低限度これだけはもらえる」と民法で保障した相続分のことになります。
したがって「三人の子供のうち一人にだけ全財産を相続させる」という遺言自体は有効ですが、残りの二人は遺留分を主張して返還を求めることができます。
この遺留分の主張のことを「遺留分減殺請求」といいます。
なお、この「遺留分減殺請求権」は一年間で時効消滅します。(民1042条)
【毎月15日は遺言の日】
遺言はあなたの家族の未来の笑顔を守ります。
吉村行政書士事務所
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