『おお、淳じゃん。ビックリさせんなよ。早く着いちまってさ、校舎ブラブラしてたんだ。何してんのよ?そっちこそ。』
『似たようなもんかな。引き出しあさってんじゃねーよ、変態。』
『あさってないよ、何を言うかね。』
『今、杏が2階にプールの鍵とりに行ってるからもうすぐ開くぜ。』
『杏も来てるんだ。早いね、みんな。』
『久々だな、こんな早いのは。』
『俺もだよ。対馬戦いらいだな。あれ最初、気まずかったよな。』
『最悪だったな。対馬も奇襲してくれれば良かったのによ。見つめ合っちゃってな。朝イチでタイマンなんてするもんじゃねぇな。』
『あれは対馬の作戦勝ちだったよな、色んな意味でよ。そういや、勉強とかしてんの?』
『やってないなぁ。塾行くと朝早いらしいぜ。夏期講習ってやつ。』
『しかも夜までだろ。無理だよな。』
『勉強が楽しければいいけどな。全然分からないとキツイだろうな。』
『お前は頭いいけど、俺とか塾行ったら暇なんだろうな。夕方あたりから腐ってそう。』
『お前、後ろの席でポコチン出してそうだよな。シャーペンで突いて、痛てぇ痛てぇ言ってそう。』
『机の上に無理やり乗っけて、テキストで隠してな。っておい!お前は振り返ってクスクス笑ってるタイプだろうが!このムッツリが。』
『お前、高校いっても水泳やるの?』
『それは、まだ分からんねぇ。もしかしたら、やっちゃうかも。』
『マジかよ。すげ。』
『やめるのかよ?』
『いやいや、俺も未定よ。もしかしたら最後かもな、これが。部活とか、これっきりかも知れないし。』
『うん。俺も同じく。』
杏が教室のドアから顔を出した。手には入り口の鍵や各更衣室の鍵、用具要入れの鍵などが連なった木製のキーホルダーを持っていた。
『おっ、おはよー、いたんだ。鍵持ってきたよ。』
『おっす、どうも!行こうか。』
校舎からプールまで歩き、門の鍵を開けた。陽介は昨晩トオルが吸ったと思われるタバコの吸殻を拾いながら一番後ろを歩いて更衣室へ向かった。
水温の記録や塩素の投入を終えると、30度近い温めのプールに水を少し注ぎ足した。
校庭を3週走り、体操、ストレッチを行いシャワーを浴びた。
すぐにプールに飛び込み、ウォーミングアップしながらメンバーが集まるのを待った。
すぐにキャプテンの貴司や由香、綾などの3年のメンバーが顔を見せ始め、写真を撮り合ったりもした。
貴司が発表した練習内容はいつも通りの基本メニューのみであった。
先に泳いでる者からドンドン始めて、終わり次第上がって良いという指示が出された。
杏と淳が1コースを2人で泳いでいた。通常、淳は2コースを泳ぐことが多く、あまり見ない光景であり新鮮だった。
メニューを終えてゆっくりクールダウンし始め、それぞれが調子を確認しながら明日のレースのイメージを膨らませていた。
先行して泳いでいた者は10時前にはプールから上がり、明日の打ち合わせや、マッサージなどをしていた。
午前11時には皆プールから上がり、着替え終えていた。
明日の集合場所と時間、レース前に必ずしっかりとォーミングアップをするなどの注意事項が告げられ解散となった。