溜まった乳酸を癒すような練習が始まり、いよいよ大会前が目の前まで迫ってってきていることを実感していた。


私はこのプールであと何回泳げることやら、そんなことをふと考える余裕が出てきていた。


いよいよ大会まであと2日。基本メニューの後はリレーの引継ぎの練習を入念に行ったりしていた。


私はこの日、リレーメンバーで揃えたキャップと水着を着用した。


男女とも黄色のキャップで統一し、オプションでサイドに学校の名前とハートマークを入れた。


ハートマークは日の丸風で、白地に赤のハートを入れた。そして少々高くつくが記念ということもあり各々が、白地の余白に好きな文字を黒字でいれることにした。


男子陣は最後の大会だというのに相変わらず下品で、淳はPlayBoy、貴司はCityBoy、テツはCerryBoy、陽介はShyBoyと入れた。


女子は私がJoy、綾がMelody、マリーンがBunny、杏がHappyと入れて、綺麗にまとめた。


淳のPlayBoyはそのままなので笑ってしまったが、最近その淳が私や綾によくアドバイスをくれるよになった。


個人的には凄く嬉しいことで、家に帰ってから、それを思い出してはニヤけてしまう程だ。


おかげで気づいたら寝ていた等ということもしばしばあり、起きて再びゴロゴロしながら彼のことを考えたりする時間が私服の時である。


もうこんな日々がもう少しで終わってしまうなんて、考えたくもないことだ。練習に行けば彼に会えて、何か話せるなら、毎日練習があってもいいし、辛く苦しい練習にも耐えられる・・・なんて今更ながら馬鹿なことを考えていたりする。


大会ではいい泳ぎを淳に見てもらえるように頑張るつもりだ。


ただし、私だけというだけではなく、最近女子陣に淳が優しいのだ。


今日は帰り際に杏が淳に漫画を貸していた。少女漫画だ。博学な淳なら何でも興味を示すのかもしれないが、ちょっと妬いている自分がいたりする。私ももっと繋がりたいし、もっとお喋りしたいのに、なんて。


一番変わったのはマリーンと淳だった。

マリーンが唯一、あまり甘えたりジャレたりしない相手が淳だった。普段クールすぎて近づき難いオーラを出している為であろう。基本的には後輩のことは貴司やテツにまかせて、ほとんど面倒をみることがなかった淳だったが、コミュニケーションを頻繁にとるようになっていた。


私は淳チェックを頻繁に行っているが、新しい彼女ができたとか、浮いた話は最近聞いていない。


他愛もないことだが、変わった点でいえば、

以前はTMCと書かれた綺麗で格好良いバックを愛用していたが、

今は違うスポーツバッグを持ってきているとういことぐらいだ。


顧問もいないし、夏休みということで皆私服で登校しているのだが、最近めっきり淳と同じ色の服を着るようになってきた。


まるで超能力が使えるかのごとく的中するのだ。


外れた日は嫌われたのではないかと、付き合ってもいないのにすごく凹むのだが。


帰り道で、先に帰ったマリーンがビル前のエントランスで数人と踊っていた。練習後だというのに元気な子である。


杏はそれを見つけると手を振った。


マリーンが気づくまで手を振っていた。