『あぁあ、どうしようかな病院。』
野見山は行きたくてしょうがなかった。
『やっぱり行きたいわよねぇ。』
『病院行った後、どうするよ。どうするよっつーか、なんつーか・・・。』
『どうしたいの?』
『・・・』
『・・・』
『一緒についてくるか?』
『うーん。』
野見山は緊張しながら言った。
『滅茶苦茶になるけど、来なよ。』
『もちろん。』
『アンタ変態だろ?』
『もちろん変態よ。』
『会ったことないよ、アンタみたいな人。』
『私だってそうよ。』
『ずっと会いたいと思っていたかも。』
『かも?』
『会いたかった。俺の色んな物を上手にキャッチしてくれそうで、変態にしか思えないよ。アンタどんだけ広いんだよ。』
『広いって?』
『あんま上手く言えないな。』
光恵はクスクス笑った。
『変態でいいもん。私のこと好き?』
『まぁ。すごくレアな人だと思う。こんなチャンスを逃したら、会えないかもとか。そして、こんな貴重な存在の奴が困っていたり、寂しい想いをしているなら、俺が大切にできたらなとは思う。』
『ありがとう。よくわからないけど。』
『俺が今言ったこと通じなかったか?』
『ウソよ。だって恥ずかしかったんだもん。いっぱい伝わりました。』
『もう言わないからな。』
『言いたいんでしょ。え?このこの!』
『馬鹿が。俺は元々、無口なんだ。今日は色々ありすぎて話しすぎただけだ。基本、話さない。』
『ウソだぁ? 私とは話してくれてもいいじゃない。じゃぁ、話さないかわりに沢山プレゼントちょうだいね。』
『どんなもんだ?』
『とりあえずバッグとか、・・・あとメールとか手紙も。』
『手紙? 馬鹿にしてるだろ?』
『してません。だって、話さない日が続くなら手紙くらい書いてよ。駄目ならいいよ。』
『手紙っつーか、詩ならいいよ。そのうち書くよ。』
『詩?ってポエムの詩?』
『ポエムかどうかは知らないけど、詩だよ、ただの。っつーか、今引いただろ。キモイとか思ってんじゃねーよ。』
『思ってないよ。それは逆に心外。そういうことでキモイとかいちいち思う女だと思われてるなんて。ちょっとショック。凄い欲しいもん。全部欲しいよ。』
『全部?』
『うん、全部。あなたの全部。』
『そうか。ちょっとよぉ、こんなこと聞く男もどうかと思うけどよ、アンタは男に全部を捧げたことはあるかい?心を開放できちゃうような相手と付き合ったことはあるかい?』
『あるわ。』
『そ、そうか。ちなみに俺はない。』
『あっゴメンネ。』
『謝ることないよ。ところでその男はアンタに詩をプレゼントしたのかい?』
『いえ。書いて貰ってないわ。』
『嘘付いてたら、頭撃ち抜くぞ。』
『本当よ。本当なの。』
『じゃぁ、詩を書くよ。』
『ぜひぜひ、お願いね。あっ、あと私のこと信用してね。信じられないかもしれないけど、信じて。私にはオープンでいてね。』
『ああ、アンタもな。』
『もちろんよ。』
野見山はトオルと光恵がどんな付き合い方をしていたかを考えていた。
『ねぇ、今何したい?』
『何って?』
『何って?変なこと考えてたでしょ。』
『考えてねーよ。』
『考えていいよ。』
『そーだな、胸を重ねたい。』
『重ねて?』
『音を感じあう。』
『それで?』
『繋がりを実感する。』
光恵は吹き出した。
『今度こそ馬鹿にしてんだろ? もう話さん。』
野見山はラジオを付けて、スピードを上げた。
しばらく沈黙の運転が続いた。
『ちくしょう、俺が全部忘れさせてやるよ、アンタが付き合ってきた男達を。』
『うん。』
『あのさぁ、今から病院行くからな。』
『はい。』